☆双眼望遠鏡観望記☆下へ行くほど古くなります。

眼視観測によっての望遠鏡の性能は、決して数値で表せるもので有りません。
従って、ケース・バイ・ケースで汲取って頂きたいと思います。
最近は個人的な観望日記的になってきましたがお許しを・・

2002年
2003年

2004年

 2005年


9月13・14日 富士新五合目

久しぶりに満足の行く観望が出来ました。
ネリウス80ツイン完成後、最上級の空でした。
日本海側に台風崩れの低気圧が移動して高気圧圏内でも非常に予測しにくい天候が続いています。
夜半からの晴天を狙っていましたが、各山間部では曇りか雨、しかも結構強く降っているようです。
偏西風は随分北の方なので上空のシンチレーションは期待できますが、平野部は透明度も悪く標高のある観望地しかありません。レーダーで雨雲を時間ぎりぎりまで確認していると、埼玉、栃木は可能性が低く静岡から流れてくる雲が消滅しつつある富士山にしました。

月齢はあるのですが、月没は1:00過ぎで薄明まで数時間あります。
武蔵村山を22:45にスタート。
須走り出口を通り越す位から道が湿っています。
太郎坊への分岐辺りはびしょびしょで雨上がりを感じます。
新五合目へ入るゲート辺りで空を見上げると、星が沢山見え明るい月が低くあります。
ワインディングロードは、沈み行く月とクロスする地点を想像しながら登っていきます。
結局、大型駐車場に到着しても月は沈みませんでした。

とてもよく晴れているのですが、雨上がりの蒸発のせいでしょう。大気の揺らぎがあります。
今回の観望機材は、ずーと積みっぱなしの「ネリウス80ツイン」です。
観望準備も瞬間に片手でヒョイと載せてセッティングが出来る非常にお気軽なものです。
材料費13万円製作時間2日程度で出来たものの非常に優れた能力を持ち、また、今まで所有の機材にないスペックでとても気入っています。

今回の観望では、
WS-30mm=16倍・瞳径5mm・実視野5.25度と、
UW-14mm=34倍・瞳径2.3mm・実視野2.5度を
使用しました。

月が沈むまでは、月を見ていました。
以前は色収差を意識していたせいか周辺に僅かな色を気にしていましたが、WS-30mmで見る限りは殆ど出ていません。平行軸が崩れたり斜めに見たりした場合少し出ますが、気にならないレベルで非常にシャープな月像に再び驚きです。

食事をして時間を潰し、月没後気付くとキリが雲へと成長し下界70%位までが雲海と変わっています。
2:00位からは風もなく素晴らしいコンディションです。

オリオンも十分に上がってきています。
しかし、素晴らしい空で最初にはやはりM31です。
WS-30mmで極上のM31です。
32も110もキッチリ見えています。
良像範囲に3度の全景が入り素晴らしい眺めです。
銀河系の恒星達が手前で引き締まり輝き、遠方の暗闇を越えた先にある大きなM31を感じます。
非常に神秘的に没頭してしまいます。
焦点距離480mm高性能屈折双眼ならではでしょう。今までで最も感動できる姿です。
大型望遠鏡ではありえない姿です。
しかし、褒め過ぎのような表現ですが、EMS短焦点アポ双眼は恐らくどれも同じように見えるものかと思います。
本当に感動的です。

そのまま、M33を眺め、2重星団を見ます。
二重星団も綺麗ですが、周辺の恒星も見え過ぎで今一密度の薄さを感じます。
周辺をウロウロしていると、あれれ?M33が何故ここに・・・、この辺は色々あるから後で調べてみるか・・。
散光星雲NGC281 初めて見たのですが、こんなに良く見えるものなんですかね?

スバルへ鏡筒を振ります。
16倍、5.25度の視野は広すぎで光量が分散してガス星雲は見えないものと思っていましたが、白いガス状態が写真のようにハッキリ見えます。
シュワルツ双眼とは違う見え方です。
間違いない姿に少々ビックリ!

周辺をもったいぶって、うろつきながら本命のM42へ到着します。
水分空も良いのでしょう。16倍でトラペジュウムが判るじゃないですか。
レーシック目の後遺症でまぶしさに滲み4個キッチリは確認出来ませんが、通常の鋭目なら十分分離して見えるでしょう。
しかし、周辺の重星も小さくシャープです。
これは、EMSの素晴らしさと、一応十分な「セミアポ」のお陰で、プリズムの入った双眼鏡では難しい姿です。
シャープと言う事は、コントラストも良いということです。
広がる星雲がこれまた凄いです。
大型の双眼望遠鏡で見るような羽部分のうねり、そのものを縮小した様にうねり模様が判ります。
今まで見てきた小口径では只白んで見えていた星雲、形が判るとは驚きでした。
更に羽部分を中心に全体的に薄っすらと色がわかります。
この色は、大口径で確認している色で、経験がないと認識が難しいかもしれません。

さて、UW-14mmです。
トラペジウムは鋭く分離します。素晴らしいシャープネスです。
大気の状態もまずまずのようで、しびれてしまいます。
星雲も更に構造がわかり飽きません。
言葉で表現出来ませんが、十分すぎる見ごたえで飽きさせません。
正直今は、50cmが無くても十分満足状態なのは確かです。
美しい宇宙で、とてもリアル。
遠い宇宙空間を感じることが出来、立体宇宙を想像するとついつい長時間見続けてしまいます。
本当に、息抜きの時間として、重圧な仕事のストレスが消えて行きました。

当然ここに書かない他の対象も十分に楽しみました。
大口径も素晴らしいが、この80mmツインも比較が出来ないほどの物です。

「ネリウス80EMSツイン」、これはお勧めです!! 

更に使い勝手の中で、ネリウスは接眼部周辺を回転させる事が出来ます。
EMSのベテランなら、その場で左右を内より目にセッティングする事が可能です。
完全平行より、僅かに内寄目にする事で、擬似立体感も増し、又目の疲れも減ります。

アイピースは、正直WS-30mmには多少の不満はあります。
20mm〜25mm位の高性能広角アイピースが欲しい所です。
・・・、やっぱナグラー22mmナンですかね?
鏡筒より高価で、しゃくにさわるアイピースですが、悩ましい所ですね。
きっと凄いでしょう。


2月5日

何処の山も雪の世界と化して私たちの侵入を拒む。
仕事もあり無理は出来ない。
手ごろな観望地を探していると、新しい仲間のKATO氏が上野原に手頃な所を探してきた。
八王子インターから2・30分で到着してしまう非常に手ごろな場所である。
大野ダムという小さな湖のほとりの高台に開けた大きな資材置き場がある。
ここは氏の縁者の敷地である。
許可を取ってあるので広い敷地の真ん中辺りに大きく陣取ることが出来る。

ありがたいことに他の観望者がいない為、明かりをつけてゆっくり安全に準備が出来る。
体力的な部分と光害を想定して「33ツイン」を持ち込んだ。
シーイングは冬の空特有に悪そうだが、同時に霞みがかっていて八王子方面は光外にやられほとんど星は見えない。
しかし天頂から西にかけてはなかなかな空である。
薄っすらと冬の天の川がわかるほどだ。
この距離で、これほど見えるとは内心ビックリしていた。
栃本と県民の森との中間ぐらいの暗さだ。
周辺の山は10度から15度ぐらい視界をさえぎる。
透明度があれば八王子辺りの光害は半減するだろう。
その状態ならかなり本格的に楽しめそうだ。

到着暫くは、KATO氏とM天体廻りをしながらゆっくり時間を過ごす。
GINJI250Dと33ツインの見え具合を比較する。
しかし、今日は大口径向きでなく、ぼてぼての星しか見えない。
トラペジュウムもやっと3つというコンディションである。
こう言う日は銀河しかない。
50倍で楽しむには光外カットフィルターがとても役に立つ。
100倍だと瞳径が3.3mmの双眼となるので暗い銀河が浮かび上がってくる。
星雲はとてもよく見え250との比較はやめた。

早めの到着であったが、夜半を越えると光外もかなり落ち着き、春の銀河団を十分に楽しめる。
途中KATO氏のモーターホームで一休みすると暖房の心地よさで眠たくなってしまう。
外で観望を始めると、地主が磯辺焼きと飲み物を持って来た。
広場の一段下がった所に住居があるので人がいるとすぐわかるようだ。

獅子座が本格的に昇ってくると北斗七星まで数え切れないほどの銀河を楽しめる。
特に33ツインは梯子なしで自在に鏡筒を振れるので楽にそして観望に専念できる。
獅子座周辺のMは全て確認。主なNGCもOK。
明るい物は100倍で形が浮かび上がる。
おとめ座銀河群を導入しKATO氏にお見せする。
次から次へと導入される銀河を楽しんでもらえた。
久しぶりにNGC4565を導入すると相変らずのシャープなエッジに見とれてしまう。
ただもう少し暗い空が欲しい感じだ。
M104はシーイングが悪く100倍以上は上げられない。
それでも、この透明度でこれだけ楽しめれば十分だ。
これほど近い場所でこれほど楽しめるとなると、冬場はちょくちょく来てしまいそうである。

私有地でこんな事を書くと批判を浴びそうだが、実はこの周辺なら良い所が多そうなので書いている。
少し先まで良くと小学校などある様だが、サービスエリアの光が来るそうで駄目だが、ダム周辺なら言いところがありそうだ。気の短い方は一度ロケハンして来て下され。

次回良い所が見つかったら公表しよう。

帰りもあっという間の到着で、こんな楽な観望もあるのかと考えてしまった。

もう一つ、「33ツイン」はお手軽観望に最高な双眼鏡と改めて実感した。
取り扱いの簡単さ、ディープスカイの見応え、今回は特にシュワルツ用の50mmファインダーをつけていたので導入がすごく楽でほとんどの銀河が一発導入!
こんな所も輪をかけて離せない双眼望遠鏡と実感した日でした。



1月2日

初観望
年の初めにやはり天体を眺めて見たく女房の実家へ遊びに来る際、シュワルツツインを車に積んできた。
茨城県の鉾田市という北浦の北部に位置する小さな街である。
家の庭からも天気が良いと天の川が見えるロケーションではあるが、街灯が邪魔をする。
毎回観望場所となるのはそこから車で5分ほどのだだっ広い畑の真ん中に材木置き場がありその中を無断で拝借している。頭ぐらいに積み上げた材木が少し離れた民家の光をさえぎってくれてとてもよい場所である。
ただ、山奥と違い全体的に薄っすらと光外があるので透明度が高くないとつまらない場所となる。
1月2日はとても抜けが良い。深夜12時位から少し流して初観望は終わりとする。
オリオンの側にマックホルツ彗星が肉眼で辛うじてわかる。
実は年末から風邪をひいていながらそれを押してどうにか素晴らしい星たちを楽しめた。
1時間ほどで機材を仕舞い、温かい車の中で正月番組の映画を見ながら、ゆっくりと動いていく星座を広い大地の中で追いかけた。
抜けた空を冬の星座たちが大地へ沈んでいく。
こんな情景をのんびりと見るのは初めてのことである。
いつもは暗い観望地でせかせかと望遠鏡で星を追い続けていたが、大地に落ちていくオリオンはとてつもない映画を見ているような気になった。
こんなダイナミックな観望も実に楽しい物であった。


1月8日
仕事が営業となって土日に休む事が難しくなってきた。
しかし、新月。
雪で駄目かもしれない秩父へシュワルツツインを持って出かけました。
相変らず風邪が治らないのですが。
車は取りあえず四駆・ABS付なので、初の雪道遊びにチャレンジしたい気持ちもありました。
21時過ぎに武蔵村山を出発。
栃本へはニ駆でもどうにか可能な程度の路面です。
広場近くまで行くとやっと真っ白なアイスバーンが少しある程度で意外と走る楽しみはありませんでした。
取りあえず、わざわざ急ブレーキを踏んでABSというものを体験してみました。
ガガガ・・・とうるさいブレーキングで、私的にはノーマルでコントロールした方が良いような気がします。

23:00頃到着すると、H天文同好会の方が随分いました。
相変らず入り口に明るいテントが設営され、中から新年会の声が聞こえてきます。
明るさがいやなので、中ほどまで車を進めて場所を決めました。
栃本もここの所ダム工事の明かりが減って暗さが戻りつつあります。
今日は、特に東方面に雲が張り出していて関東の明かりが非常に少なく冬の透明度の割りにシーイングも良く「武蔵五百」を持ってこなかったことを多少後悔しました。
しかし、翌日仕事なので深入りしないようにこれで良いのです。
簡単にセッティングできるシュワルツ120ツインで早速観望に入ろうとすると、スバルに下にマックホルツ彗星が肉眼で簡単に見えます。ワイドスキャン30で見ると核がしっかりしてとても大きな彗星です。尾は少し感じる程度で今一。
オリオンが丁度良い位置で見始めると、後から「馬頭が見える」と声がするので、のぞかせてもらうと馬の頭がハッキリ見えます。45センチドブにHβフィルターです。
フィルター付でもこんなにハッキリ馬頭が見える空だと確信したので今後もこの場所が楽しみになりました。
ツインに戻りM42を見るとトラペジウムも余り揺れずシーイングはまずまずなのが判ります。
UW-14mmに取替え星雲の広がりをゆっくり眺めます。
とても雄大な眺めで、非常にコントラストが良く、久しぶりに感動的な眺めです。
トラペジウムも間に微光星がちらりと見えそうです。
微恒星を確認しながら星雲の影となる暗黒帯へゆっくり流していくと黒い雲の間に輝く星達がわかり暗黒雲の濃淡がわかります。驚きです!写真などで見ると表面にあるような恒星たちの大半は、実は星雲越しに見えているのですね!その影を追って観察していると、暗黒星雲の形が見えてきます。
明るく広がる羽の部分までつなげて見ていくとオリオン大星雲は大きなボウル状になっている事がわかります。
丁度トラペジウムを囲うような感じみたいですね!
よく知らなかった私としてはとても衝撃的な光景でした。
驚きのあまりつぶさに暫く見入ってしまいました。
そうそう、双眼を少し内より目線にセッティングしていたので余計立体的に感じていたので、平面から立体像への発想となったみたいです。

是非一度、鳥の形を考えずにボウル状(すり鉢状)だとイメージして観察してみて下さい。
そして、暗黒帯から透けて見える若い星たちを見て下さい。
とてもダイナミックな感動に包まれますよ!!
ぜひ、双眼望遠鏡で!



その喜びも束の間、南半分が雲で覆われてしまい大熊座方面へ鏡筒を向けます。
周辺の系外銀河がコントラスト良くみえます。

獅子座の系外銀河も代表的なものはすべてしっかりと見えます。
まだ高度が低いにもかかわらず栃本も良く見えるようになりました。

1時間ほど経ったでしょうか?今だ南の雲が取れません。
立ち木の上にM51、M101が見えるような時間です。
51はしっかり渦がわかります。12cmでも屈折のコントラストは素晴らしいですね!
翌日の仕事を考え1:30に撤収開始です。
あっと言う間に片づけを終え、少々お話をしてる間に全天が又素晴らしい状態になりました。
この後春の銀河が堪能できるのでしょう。
しかし、今日はM42に大満足を得て帰ることとします。

次回は「武蔵五百」でオリオン大星雲ですね!


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