☆双眼望遠鏡観望記☆下へ行くほど古くなります。

眼視観測によっての望遠鏡の性能は、決して数値で表せるもので有りません。
従って、ケース・バイ・ケースで汲取って頂きたいと思います。

2002年

12月30日

一昨日の観望に悔いが残り大掃除も放ったまま再出動をした。
やはりここ一番はベストの観望地を選択すべきであった。
そう、今日は秩父、栃本広場へ来ている。
11時頃到着。先客1名写真屋あり。簡単に挨拶を済ませる。目が慣れてくるとカシオペア周辺の天の川が迎えてくれる。
さすがに年末、南の町の光害も少ない。締めくくりには納得のいく空である。
125倍でオリオン周辺からゆっくり眺めていく。トラペジュウムもまずまずの像になる。やはり冬のシーイングで点像とは行かない。少し膨らんでギラギラしている。再度ピントを合わせる。一層点が小さくなる。4つのトラペから暗黒に少し向かったところの星雲内に3つの星が見える。(大きい方ではない)もう少しずれたところにまた2つ見える。たぶん13等位だろうか?もう少し倍率を上げればまだ出て来そうだがこれぐらい見えるのならと、馬頭へ鏡筒を向ける。惜しいところである。やはりHβフィルターを入手した方がよいだろうか・・・。

M31は今まで見てきた中で最高の見え方である。ミラーの状態のおかげだろう。光軸もぴったりで目の状態も良いおかげだ。
中心は眩しいほどだ。2本の暗黒帯は直視した状態でくっきり分かれる。M32、M110も直視で形状が確り解る。M31の星雲状をたどって行くと、濃度の違いがはっきりわかる。散光星雲等なのだろう。残念な事にM31の拡大星図を今日は持っていない。
これほど見えるのなら今後は細かく観察する用意が必要だ。
M33はご想像の通り構造がわかる。周辺に幾つか小さな銀河を通り過ぎ2重星団を見てみる。星が眩しく目のピントが難しい。なかなか全体にピントが出ない。圧倒されたままである。ただ、このように視界一杯の対象はアイピースの湾曲が気になってしまう。笠井WA-12を使っている。このアイピースは中心像が非常に良く気に入っているのだが視野全体70°を見渡すと強い湾曲に襲われる。特に明るい対象では気になってしまう。F4.5ではキツイのかも知れない。バローを入れるとその問題も消えるのだが・・・。

しばらく休憩を挟み、意外と今まで見ていなかった星雲を今日のメインと考えていたので頂く事にした。
この−5℃に因んで「エスキモー星雲」である。昔、低倍率で導入した事はあったが恒星と余り変らぬ大きさでそれ以上の追求をした事は無かった。ここ数年のCCDカメラによる撮影で影響を受けていたので一度眼視で確認してみたいと思っていた。
本日は250倍が可能なので、良い角度で観察する事とした。
最初、125倍で簡単に導入できた。並ぶ恒星と同じような光度である。滲んだ恒星のようで250倍では不足に感じる。早速アイピースをチェンジする。まずまずの大きさになって来た。丸い星雲状態である。なんとなく二重の円に見え内側に線のような濃淡が確認できる。しかし、まだまだ明るく拡大できそうである。しかし、今日は6mmまでである。4mmぐらいのアイピースの必要を感じた。まあ、エスキモーのような雰囲気は十分感じる事が出きるので今日はこれで十分。これ以上の分解はシーイングも重要になってくる。

低空にあるNGC4565を導入する。一昨日県民の森で見たこのエッジは情けなかった。まだ白いバックの中だが今日は十分に見える。何時見ても宇宙の不思議を感じさせる銀河であるのだが、125倍の視野一杯に広がるエッジは大口径を納得させる主役となっている。
周辺の小さな銀河団はまだコントラストが今一。大熊へ向かいMナンバーを一通り見る。

33ツインの本領が出てきたのと、自分の目の本領とで実に以前より数段アップした銀河を見ている。特に明るい物などは素晴らしい。写真に写る銀河とは別物である。腕の濃淡や混ざった恒星などは写真ではわからない。特に今日みたいな日は33ツインを作ってよかったと実感させられる。
また、コンタクトレンズから開放された事で長時間の観望でも不要な障害が無くなった事の快適さは物凄い物がある。ただ問題は少し残っている。暗い山の中では特に障害となるのだが、瞳径が開いている時、30mmアイピースを使う事が出来ない。全開の瞳の中に入る点像は軸をずれた瞬間滲み出す。とても不快になる。中心軸のみシャープだがそれ以外はまだまだ実用にならない。月を追う毎に滲みは減ってきてはいるが完全に落着くにはもうしばらくの時間が必要だろう。
今現在瞳径3mm以下であれば何の障害も無い。

月の出る前に、乙女銀河団をチェックする。
今日のM31の感動が続く中、アイスバーンを舐めるよう家路へつく。
見納めでなく、2003年のスタートとしたい観望であった。


12月28日

御用も納まりまずまずの天気である。おそらく今日が今年最後の観望となりそうである。早めにスタートを切りたいところだがなかなか小用が重なり月が出るまでの数時間の観望となった。
移動時間も少ない為、埼玉県民の森である。
意外と空は良くない。冬の天の川を拝む事は出来ない。
しかし、ここの所調整のみに時間を割いていた33ツインの状態が思惑通りに良いコンディションである。
先日笠井トレーディングより購入したUW-6mmをセットし250倍の観望を行なうがなかなか調子が良い。大気の状態が許してはくれないのだが土星など非常に良い色で見える。非常にフラットで周辺まで崩れは少ない。しかし、それ以上にアイレリーフが長く双眼望遠鏡にはもってこいである。短焦点のアイピースでこれほど見やすいものはなかなか無い。まして値段が驚くほど安い。今後は高倍率用の定番になりそうである。
しかし、今日は冬場の割りに透明度が良くなく今年最後としては悔いの残る状態であった。



10月12・13・14日


久し振りの観望記である。
この3ヶ月の間に大きな出来事をはさみ御話しておかなくてはならない事がある。
他のページで既にご存知の事であろう「レーシック手術」による認識力の変化。その結果報告。これを挟みながら、先日行なわれた「第5回双眼鏡望遠鏡サミット」の報告を兼ねたいと思う。
サミット前に何度か秩父へ観望に行った。「レーシック」による視力の改善が為され星像のコントラストがアクロマートレンズからアポクロマートレンズに交換したような効果であった。まだ少し、アスが残り明るい点像に対してフレアが残るが、術後経過で無くなるようである。
現状2ヵ月半が経過し、医師の言われる通り進むのであればこの手術は目の悪い天文ファンにとってはこの上ない「朗報」となるだろう。
今後1年位注目していただきたい。

さて、「サミット」であるが、私個人は昨年に引き続き2回目の参加である。
この、スターパーティーは、服部氏、田中氏主催で主に双眼望遠鏡を主体としたマニアの集いで年一回開催されている。
ここ数年機材の高額化、収容数等の関係からクローズドエリアにて安心した3日間が過ごせるように企画されている。(機材を放置していても盗難の恐れなど一切心配無用)
費用は宿泊食事を含め全日で1万円弱、暖房、大浴場、ほか、大型天文機材等各種を利用出来、超破格である。
完全予約制なので、参加経験のないものは躊躇するかもしれないがこのスターパーティーに関しては、オタッキ-な堅物も少なく(いないかも?)物凄い機材が多いのに関らず、オーナーを含めひじょうにアットホームでくつろげる。望遠鏡を覗くのは初めての方も楽しんで帰られる所からその辺を察する事が出来ると思う。

初日、会場であるスターフォレスト御園  愛知県北設楽郡東栄町東名高速を使い向かう。三連休の初日に当たる為早朝3時スタートし会場そばの山中にて睡眠を取り午後3時過ぎに入場する。
快晴である。太平洋上の台風(後に熱帯低気圧)が、高気圧の移動をブロックししばらくはこの状態が続きそうである。
去年の顔ぶれに再開するがまだ一部名前と顔の一致が出来ない人物を確認する。今回は写真入名札がロビーに掲示され交友を深めやすく工夫がなされている。
ある程度の概要は、「写真レポート」で理解していただきたい。


当地の標高はデリカの高度計でおおよそ600M位。町から離れ全周が見渡せる芝生広場を会場とする。
集まった双眼望遠鏡は35台以上50mm〜400mmまで、主にカスタムメイドが並ぶ。シングル鏡筒を含めると100台は軽く超える。特徴として、眼視観望が殆どで直接的な感性の判断が聞こえ、理屈のいらない評価がなされる面白さがある。
よくネット上で様様な論争が交わされているが、あらゆる機材を比較できるので、これぞ「論より証拠」では無いだろうか?

今回私の出動機材は「33ツイン」「シュワルツ120ツイン」「ニアスター」である。
一つのテーマが、岡本氏の40cm双眼との比較である。しかし、氏の設置場所が遠くまた順番待ち状態の為諦めた。
今回33ツインは、レーザーにて光軸を追い込みベストな状態にしてきた。標準の50倍ではひじょうにシャープな像を結ぶようになった。しかし、倍率を上げていくと星像が肥大し始める。この状況は、サミットへ来る前に確認していた。恐らくミラーの圧迫により歪が原因していると思われる。今回マウントの改造をサミット中に行なおうと思って準備をしてきた。
結果としては手をつけられなかった。何故なら今回太陽望遠鏡「ニアスター」を持参した為、快晴の夜空と日中の太陽、心和む歓談、寝る時間さえない位であった。
来年は高倍率で稼動できるようにセッティングをしてからにしたいと思う。

初日の空の状態は月が沈む前から天の川が確認できる。深夜月が沈むと、5.5等ぐらいの空が現れる。夏の大三角周辺の星雲星団を十分に楽しむ。
多種多様の双眼望遠鏡で、それぞれの味わいを楽しむ事が出来比較どころでは無い。十分調整されている機材であれば、良い空の条件のもと、大差は出ない。確かにアポクロマートのシャープ差は如実である。しかし、星雲関係は口径差意外に比較はない。機材は個人のあくまでも個性の違いで、求めるものは「良い空」と結論したい。
ここの空であるが、高気圧圏内であり、森林に囲まれた条件で夜間上空に水蒸気が停滞しやすいようだ。ベストコンディションであったとは言えないので今後抜けの良い時に当たったら文句のつけようはないとは思うが。
上空には遠方からの光害があり水蒸気に僅かに反射ている。しかし、大勢で安心して十分な星空を楽しむに他にない環境である。Hβフィルターで馬頭星雲が辛うじて見える状況をこういったら贅沢であろうか?

その様な中で、隣に陣を張るエチゼンヤ夫妻の前には、自動導入の25cm反射双眼「ドビーノ」が並ぶ。導入速度の速いこと、次から次に難しい対象を導入する。大勢にお見せする時は、あのような手際でないといけないかな?と、手動ドブと人間いい加減ナビゲータを反省する。
高性能ナビの田中氏にステファンの五つ子を導入していただき、再びどちらか悩むところである。

EMSを使った屈折双眼望遠鏡は昨年と比べ恐ろしく増えていた。裕に20台を超える数である。大概が純正EMSを装着している。オール自作は4・5人ぐらいであろう。少しさみしい気もする。
アポクロマートの双眼は、5台ぐらいあったと思う。これは星像も値段も素晴らしい。ダイヤモンドのクオリティーを比べるような物である。余裕が出来たら、是非手に入れてみたい。
しかし、主流のシュワルツ双眼は、十二分に人を楽しませてくれる。決して15センチのアポを簡単に双眼として扱える者はいないだろう。現状では、EMS双眼という特に優れたシステムと合わせ右に出るものは無いと感じた。
唯一、ED-130ビノがあったが、機会が無く残念であった。

最近、とある方にコストパフォーマンスの良い屈折をお聞きしたところ、接眼部の貧弱さを引いてもビクセンのED−102SSが焦点距離のメリット、2枚玉による改造のし易さ、レンズの良さを含め、お勧めである。と、回答を頂いた。最高級が無理であってもそれに近しい物を求める方は、試して見ませんか?良ければ私も後を追います・・・。

「ビッグ・ビノ」「ジャイアント・アイズ」等、今日有名どころのビノには常に人の列が出来渋滞の嫌いな私は、星を見ずに終わった。そんな中で、オール自作の横山氏作「シュミカセ20センチEMSビノ」を覗かせていただいた。
「レーシック」で目を磨いた私の目にとまった。
瞳径のせいもあったが、実にシャープであった。M42全景を入れ眩しいような星雲、真っ暗なバック、素晴らしいコントラストである。光路の引き出しをもう少し押さえる事が出来たら最高である。
シュワルツ150F8の上を行く事は間違いない。非常にコンパクトで是非自宅観測室に納めたくなる。
個人的には今回の特別賞を差し上げたいと思う。

自作と言えば、サミット主催の一人である。自作の王様!田中氏である。毎回素晴らしいツインを持ってこられる。氏は、双眼の本当の素晴らしさを古くから知っており、実に「双眼ウイルス」発祥元ではないかと調査が進んでいる。
今回は、反射双眼望遠鏡自作キットまで製作し持ってきてフリーマーケットに出品をしていた。
「双眼ウイルス」に感染した者は一度、氏の門を叩く事を進める。
ちなみに氏の今までの自作資料をお預かりした。そう遠くなく、資料館をHP上に立ち上げてみたいと思う。自作派はヨダレの出そうな内容で一杯である。お楽しみに!

2日目のお昼はバーベキューである。昨年同様、地鶏、椎茸等等誠に美味である。一度試す価値あり。私は個人的に鉄板より網で焼いた地鶏が上だと確信。網が足りないのだろうか?来年は自前で行くか・・・。ついでに要望を上げておこう会費が上がってもかまわないので食事の量を増やして欲しい。常時、補助食料を持っているので問題は無いが、美味いバーベキュー腹いっぱいで昼寝をしたいと思った。

2日目の午後にフリーマーケットが行なわれた。
色々である。遠方から地元の味覚や特産まで並んでいた。
高級品の破格品もあり、目の血走った殿方も大勢おり、一時は血の雨が流れた。(ウソ)
テレビューの鏡筒、ナグラーのピカピカ等多数が半額以下で出品され特にこのあたりの商品は前情報が流れ各々牽制しつつ当日を迎えたと言ってもうそは無いと思う。その匂いをかいだ主催側は、最終的にオークション方式を採用し、事なきをえ、出品者も喜べたのではないか?
しかし、多少しこりの残った方もいたかな?来年はもう少し方法を考えた方が良いかも・・・。

2日目の夜は、月没まで仮眠を取り、動き出すとニンジャ400にII(イメージインテンシファイア)が装着されていると声が聞こえる。人の列が出来ているので此方の陣で星見を続ける。しばらくすると、馬頭馬頭と声が聞こえる。IIで馬頭を見たら・・・、非常に興味が沸いてくる。

天の声だ!!「KIKUTAさん馬頭を入れて」と.(今導入できる奴はいないな、では拝ませて頂くか!ニヤッ)
正立像で見えるようだ。今まで違うところを捜していたようなので再度捜しなおす。いきなり燃える木が導入され驚く。まるで光で漫画を書いたような星雲、漫画のような姿。反らし目のような操作は無用でずばり見えてしまう。これはいい経験だ、捜してるふりをして一人で見まくる。(冗談)
最初馬頭を導入すると、見慣れぬ見え方のせいで、良く判らない。反らし目など試みる。しかし違う。思い切って目の前の粒子にピントを合わせる。「見えた!」明らかに粒子上に明暗が分かれている。
人が変わる毎に再導入を私がする。細かく位置を知らせながら。確認する毎にIIの見方に慣れてきて、途中からははっきり判るようになった。良い物を見せて頂きありがとう御座います。SFの世界へワープした様であった。

今日は、惑星を楽しもうとこっそりと「スラルーフ20センチ木辺鏡」へ行くと、そこには抜け目無く服部氏がいた。残念ながらシーイングが悪くダメであった。M42や馬頭を導入してみる。大口径の後なので、それなりであった。そう、いまだドームの60センチを拝んだ事が無い。来年は見てみようと思う。
そうこうしながら、夏の大三角から大熊の半分まで楽しむと、黄道光がが見え始め観望のテンポが終わりに近ずく。さすがに3日目の早朝は人が少ない。しかし、残り少ない時間を惜しむように残った人同士集まり話が弾む。
夜が明け「彗星を導入した」と声が聞こえ、最後に見せていただく。
日が昇ると、「ニアスター」で太陽を観望する。ぽつぽつと人が来る。見るたびに凄い凄いと感想がもれる。確かに太陽は面白い。しかし、紫外線が頭を薄くするそうなのでほどほどにしよう。

その後、朝食の後、記念写真、閉会式が行なわれ解散となる。
遠くは九州・四国からの参加者もあり、それぞれが来年に向かって挨拶を交わし去っていく。

去年に続き思う存分楽しめた。
この様な、スタイルのスターパーティーは、現実社会から解放され心底リラックスしまた来年を大きな楽しみとし、興奮を残しながら帰途に着く事となる。
日頃ゆっくり見ることの出来ない空を堪能し、新たな友を土産と出来る異次元空間を是非あなたも体験して見ては如何か?
星ナビ12月号に様子が掲載されるそうである。



7月21日

昨日に続き昼間は快晴。
昨日以上に雲が無いことが予想され、家族サービス後に一人山へ行く。
娘を振り切るのに時間が掛かった。しかし、月没は1:00頃。それに合わせ時間を考慮すると、観望時間は3時間がリミット。移動時間を見ると近場の「埼玉県民の森」が選択される。
山中移動中にドリフト族(今はもっと違う名前なのか?)と道を譲り合う。丁寧に挨拶してくるので、良しとするが、結構大勢いるので気になる人も多いだろう。
彼らの気持ちも理解することは出来る。街中と違いそれほど大きな迷惑も無い。しかし、あれだけのマシンと、テクニックがあるのだから、モータースポーツを楽しめる環境、何とかしてあげたいのだが・・・、きっと彼らは自己満足で十分なのだろう。

「県民の森」に到着すると、酔った雄叫びが観望者の中から聞こえてくる。落ち着けないので外れに場所を決める。すり抜けた脇に途轍もない「ドブ」が、そびえ立っている。非常に興味があるが時間も無い。

まずは「33ツイン」をセッティングする。低空は靄が掛かり射手座さそり座は見えないが、それ以外はまずまずで天の川が見える。多少光害があり大気中の水分が薄いベールとなっているので、最初から光害カットフィルターを装着し、ミラーが馴染む前から観望をはじめる。メジャー所を一通り流していると、声が掛かった。以前、此処でお会いした人だ。33ツインにて、50倍1,68°を楽しんでもらう。フィルターの影響で星像がシャープになるのでこれはこれで喜んで頂けたようだ。嬉しいことだ。

そのお返しなのだろうか? 「5つ子が入ったよ!」と、知らせに来てくれた。あーステファンか、久し振りだ。自分で導入したことの無い銀河たち。見せて頂こう。
と、招かれた望遠鏡の前には、9尺。つまり2,7mの脚立が待っていた。
「あー、この人がオーナーなのか!30インチドブ」。暗闇の中脚立を上る。地面が見えにくいので恐怖感は少ないが落ちれば只ではすまないと思う。まあ、仕事柄抵抗は無いので早速覗かせていただくと、この空で、いとも簡単に見えてしまっている・・・。折角なので、M57へ鏡筒を振り33ツインとの違いを確認してみる。110倍で中心星は見えないが、リングの濃さは反らし目なんて存在し得ない。それ所か、黒地にホワイトマーカーって状態でだ。調子に乗って色々いじらせて貰った挙句「フィルタ-あります?」なんて図々しく「網状はどうでしょう?」と、リクエスト。

どう思います?皆様。此処までくると(私の図々しさの事では有りません)これ、ぼーえんきょう?いや、これがぼーえんきょうです。って、望遠鏡を始めて手にする前に想像していた様な世界が存在していました。
「あーこれなんです」普通の人が望遠鏡で見えると思っている世界は。
色こそ無いもののハッブル写真のような星雲のウネリ、コントラスト、立体感。物欲の強い貴方!けっして見てはいけない事を私は忠告しておきましょう。(M42は良く色が見えるそうです。当たり前か!)

色々お話を伺いました。いつも2人で軽トラック満載で観望にくるそうです。(近所です)
セットアップ・ダウン。共に1時間掛かるそうです。本体には勿論タイヤが付いていました。滑車を使いトラックの上げ下ろしします。
低空は自重で光軸が狂うそうです。購入は日本一早いかもしれません。円が8〜90円の頃、約$10000ーで直輸入したそうです。
やっぱり高倍率は使えないみたいですが目的は銀河関係なので問題な無いみたいです。それ所か星雲は色がわかる様で私の求める物に話が有るのでかなりマズイです。
どうしても最低倍率が高いので、2インチで広角を必要とし、双眼装置はあまり利用しないそうです。2インチ双眼装置をつけたら、「最強の眼視望遠鏡」となるでしょう。

と、まあ素晴らしい目の毒と遭遇してしまった。
その後33ツインに戻り残り少ない時間を大事に使いながら、半分の倍率で、同じ瞳径の双眼視の良さもそれぞれに対極の立場で、胸を撫でる事が出来る。
取り回し、広角、見易さは、これで良し!
NGCの虜に成ったら30インチ(75センチ)だ。一人でやるならトレーラーに乗せるのが良いようだ!

久々の連荘、射手座、さそり座を早く「33ツイン」で楽みたい!と思いつつ明け方をドリフトしながら帰路についた。

7月20日

久し振りの晴、梅雨ももう終わりとなるだろう。33ツインも、新しいアイピース達も出番を待ち続けてカビが生えていないかと余計な心配までしていた矢先、何が何でも出動をする。夕刻から空の状態がおかしくなるが気象図から内陸はメリハリのある天気が予想される。快晴を望みながら仕事を終え、秩父、栃本広場へ到着したのがAM1:30。雲50%晴れ間50%で、メリハリがある。快晴とは行かぬが大よそ予想通り。3:00頃に薄明と成るので、熊出没の看板を無視し、急いで「33ツイン」をセッティングする。ミラーが温度順応するまで軽い食事をしているうちに夏の大三角、射手座、さそり座が雲に覆われてしまった。
鏡筒はペガサスからカシオペアにかけてのみと制限されることとなったが、久し振りの空と、夏のシーイングでM31、M33の銀河を見事な姿で心行くまで楽しむことが出来た。
M33の渦を反らし目で感じる程度だが、臼雲がその位置から消えない。
2重星団は何時見ても素晴らしい。
臼雲の中のリング星雲を新しいアイピースで340倍まで追い詰めてみる。大きなリングとなるが、雲の影響でコントラストが出ない。
雲の間を縫いながら久し振りの「宇宙遊泳」が出来るだけでも満足である。
恐らく下界は完全に曇っているだろう。


6月30日


梅雨真っ只中、関東は1日たりとも雲が引く事は無い。
やはり前回もう少し真剣に天体を目に焼き付けておくべきであった。
今更嘆いても仕方が無いが、その分機材が充実していくのは皆同じであろう。

本日は、定例の笠井トレーディング・フェアーへ行ってきた。観望が無いので、様子を少し書いて見る。
笠井トレーディングは通販専門の天文ショップ。と言うよりブローカー的でなかなか個性的で面白い物を輸入販売している。それ以上は天文雑誌に載っているので説明は省く。

恵比寿にある高級ホテル内に会場を設けてある。今日は何時もとめている地下駐車場がサッカー関係者専用になっているところが多く、ワールドカップと言う物はお金が大きく動いていることをホテルが物語っているようだ。
AM10:05に到着。開場はジャストなので、目当てのジャンクコーナーは半分あきらめ入場した。
やはり人だかりでジャンク品コーナーに入るのは容易でない。少々強引に入り込む。本日の狙いはシュワルツ150mm対物レンズだが、見当たらない。周りの人のかごを覗いても無い様だ。よく見渡すと今回は大した物が無い。いつでも見かける中国辺りのアイピースなどが山になっていて魅力を感じない。恐らくそんな中でもツワモノ達は数少ない戦利品を手にしたのだろう。

50mm角プリズムが1200円で10個以上発見をした。誰も手にしていない。俺は瞬間的に2インチ双眼装置を連想した。合計8個、知人に反射鏡を頼まれていたが代わりにと4個購入。(結果的には所詮ジャンクの為利用できる物が少なく自分で消化することにした)これは珍しい戦利品にほくそ笑んだ。

一通り見慣れた鏡筒の中に「6インチアポクロマート」を発見。確か70万円位の値だったと思う。これに2インチ双眼装置があれば、シュワルツ双眼望遠鏡の出番がなくなるだろう。
2インチ50mmアイピースどうやら50°以上の広角らしい。いつかお世話になりそうな商品も幾つか見受けられた。
1.5倍バローレンズも新規発売していた。これは双眼装置を普通の望遠鏡でピントを合わせるのに便利だろう。

ところで、フェアーは特価だと天文誌にうたってあったが、そもそもキャンペーンで1割引のはず。消費税サービス+優待割引があったとしてもパーツ類を買う位では大したメリットを感じず、カタログでゆっくり検討してからにしたいと言う気持ちが強かった。
唯一レーザーコリメータの手ごろな物は購入予定であったが、スタッフに聞くと「そう言えば無いですね!」と来た。思わず「おっと、」が出そうになったがメリット感が無かったので後日注文を入れるか、自作をするか?2インチバローも2個買う予定でいたが、差込が長すぎて再検討する事にした。1.5倍の物だと丁度良いが倍率の問題もある。

一つ魅力的なものがあった。「シュワルツ150S」が、ジャンクの隅に確か48500円で1本だけ転がっていた。
少し悩んだが、明かな衝動買いに成ると思い躊躇していたが、じきに買い手がついた。男の子が大事そうに嬉しそうに抱え、壁際に立って待っていた。父親がやってきてお金を払う。きっと今頃は、親子で晴れる事を待ちながら、わくわくしている事だろう。それはそれで羨ましいものだ。

買わない癖が付いたせいか、最後に望遠鏡カタログを購入しようと見たところ11:00には売り切れていた。(帰りに本屋に立ち寄り購入したが)
どうも今回に限っては驚きの少ないフェアーに感じたのは私だけだろうか?考え様によっては普段が物凄い「ジャンクの山」なのかも知れない。

山で会う方に数名合い挨拶を交わし、早めに帰途へ着いた。


6月9日

前回は、双眼望遠鏡関係OFFで、「高峰温泉」と言う標高2000Mの素晴らしい所で夏の天の川を堪能した。埼玉から2時間で、2000Mの観望地を知り喜びが高まった。

6月9日は久し振りの栃元、誰もいない所でゆっくり「ワールドカップ」、素晴らしい空の下でテレビです。夜半から観望に移り梅雨で見納めと成るだろう。
かなり臼雲が出てきた。
M51は早い時間に渦を確認している。乙女銀河団も射手座辺りも一通り「ワールドカップ」の合間に流してはあった。
33ツインの調子がよく、深夜に期待をしていた所だったが、今日は深追いする気分になれない。訳は、
これだ!

41314

埼玉県民の森駐車場にて、「初心者親子の同好会」オフ会に、私も子供を連れて飛び入り参加してきました。今回はその模様も含めての観望記です。

「埼玉県民の森」は、以前から結構光害が多く「それなりの所ですよ!」と聞いておりました。実際 隣の山の堂平は関東の夜景でディープスカイはきびしい所です。それから考えても同じように予想をしていました。

到着は、PM8:00頃。2〜30台の望遠鏡が立ち並び、ビックリしながら駐車場所を決め早々にライトを消します。しかし、皆さん結構普通に懐中電灯を使っており写真無しの観望専門なのが伺え神経質にならずに内心ほっとしました。

舗装された駐車場が3段に分かれ真ん中の段で観望に使い、一番下はテントを張り照明、そして鍋が湯気を上げています。照明が観望スペースに影響せず安心した段取りになっていて、観望会の慣れを感じました。

今回は、タイトルからして子供達が大勢居るのかと思い娘も連れてきたのですが、ちょっと寂しい数でしたね。

さて、空の方ですが、到着が雨上がりのようで黄砂の影響も無くまずまずです。

5等位まで見えていそうです。予想とは違い十分ディープスカイを楽しめそうなロケーションです。

早速、33ツインをセットし、ミラーを馴染ませます。そして、子供とウロウロしながら周りに挨拶をしながら、皆様の機材を見て回ります。

お隣に45cmドブ。ファインダーの陳列(プレート上にファインダーだけ7?個位並べてある)。以前栃本でお会いした20センチ反射。シュワルツ双眼。忍者32センチ。そう、忍者のイカデビル?さんが幹事で、娘と御鍋をご馳走になりました。とっても美味しゅう御座いました。ご馳走様(^_^)

今日は、皆様を少しでも「双眼狂ウイルス」に感染させられれば、観望が、より楽しくなるかと思い、サービス・デイにしました。

デモストレーションのメインのM42残念ながら沈みかけていて、あの素晴らしさを見せられないのが残念です。ボツボツメジャー所を導入しながら、声を掛けてくださる方へお見せします。

たまに、「凄いシャープなミラーだ」と、囁きを聞き一人ニヤケマス。実はここには種が有ります。多少光害で、コントラストが落ちている時は、光害カットフィルターLPS-P1NRF-JPNを使います。上空の反射光がカットされ、モヤリが消えるので、比べられないほど、別物の見え方になります。この場所では特に効果がでる空のレベルでした。

双眼の気持ちよさは結構伝わったかなと思います。
深夜、雲が出てきたので仮眠をします。

そろそろ池谷ちゃん彗星が見える時間です。

 段々空が回復しだした頃、隣の45cmオーナーが、「見えた!」を合図に、みんなが導入をはじめます。靄の為、2度ほどの尾しか見えませんでしたが、初めての方も居たようで、あちこちから歓声が聞こえてきます。私もあちこちの望遠鏡を覗かしてもらいました。
 ココだけの話しですが、やはり双眼が良く見えました。特に、手前味噌に成りますが
LPS-P1 を付けた33ツインが最も尾のコントラストが高く思えました。(勝負している訳では有りませんが・・・)

最後に、OVを装着し、網状星雲を導入。今一、詳細部分のコントラストに欠けていましたが、33ツインの見せ場でもあり、皆さん(と言っても大概の人は寝ていました)に声を掛けお見せすることが出来ました。

残る時間は、一人ゆっくり射手座、さそり座周辺を楽しみ眠りにつきました。

朝、帰り際、なんと、テレビュー102+エタロンで、太陽を見せていただきました。さすがこの口径だと、細部までキッチリ「ウニャウニャ」見えるのですね!

非常に暖かい方々の観望会で親子共々楽しめました。
今回、めでたく「双眼狂ウィルス」のキャリア(保菌者)に成られた方が居ましたら、是非、
「双眼望遠鏡サミット」に行かれる事をお勧めします。

間違いなく、発病する事になるでしょう。

では、皆さんまたお会いしましょう。

3月30日
ここの所、あまり良い空にめぐり合っていない。仕事も忙しく、たまにネットの掲示板に顔を出すぐらいである。
最近は、嬉しい事に
「双眼狂」の数値が上がってきたようである。
そんな中の話題を少しまとめてみよう。当然、主観、思いつきも含めて。

まず、
大きな衝撃を一つ。「西岡さん」と言う方の「2インチ双眼装置」の登場である。
「やられたっ」、と、「本来自作されててもよい物、出てくるのが遅すぎるぞ」との気持の同居の中、「いよいよだな!」と喜びが溢れてきた。
本来、構造的には難しい物でなく、ビームスプリッター、プリズムの入手もネットで簡単に手に入る物である。問題は価格である。
自作の場合、おおよそ10万から15万円は必要である。
そのコストを掛け、手間を掛けるには、余程の双眼狂でなくてはならない。

現実的に2インチ双眼装置の守備範囲は特に狭く、ニーズにコストが合わず製品化はされない。

ここで経営的に「2インチ双眼装置」を開発し販売する場合、どのような金額になるか考えてみる。

市場のリサーチはせず、主観でニーズを考えると、まず、マニアックユーザーの常識的な意識価格は35万〜40万円位が妥当であろう。特殊な商品で、アメリカンサイズの「バーダー」製品の比較からの限度額と考える。
さて、作る側から考えていくと、ずばり、販売個数の予測が必要になる。しかし、販売数は値段に左右されるのは当然である。そこが、商売センスのポイントになる。
原価から考えていこう。これはマニアックな商品なので、高精度のものが必要になる。
<国内少量生産10個の場合>
@工学部品(ビームスプリッター、プリズム×3):150万円
A本体(軽合金精密加工、流用製品):200万円
B究開発費(サンプル購入、試作品×2、人件費):200万円
(@+A+B)÷10=55万円   1個当りげんか55万円。
粗利益50%とすると、
ネット直販で販売価格1個何と、110万円になります。

すごくざっくばらんな計算ですが、最低限これ位じゃないと商売にならないし、専門的な会社でないと知識・ノウハウにもっとコストがかかってしまいます。
それでも、110万円なら、私は買います。この値段でも、世界で50個以上売れそうですね!競争がなければですが。

さて、中国あたりで量産させた場合、研究開発費を除いて憶測ですが一個当り、5万円以下で生産可能なんじゃないでしょうか?
そうすると、様々なコストを含めても30〜40万円で販売が可能です。この金額なら、利益的にも余裕が出来る為、販売戦略を賭ければ世界市場で1000個位は行けるのではないでしょうか?やり方次第で、かなり美味しい商売と思います。

「双眼狂」以外の方から見れば甘かないぞと、思う事うけあいですが(^_^)。

甘く思わせる為、「2インチ双眼装置」本質及びバリエーションを考えてみます。

従来は、アメリカンサイズ用では、2社満足できる商品が販売されています。それは、入射光束が蹴られずに使えると言う条件です。
焦点距離が短いと低倍率では辛い所も有ります。ここで、2インチサイズが必要になるわけです。
R・F・Tと言う言葉が有ります。広角低倍率を、それなりの口径で楽しむわけです。
2インチ双眼装置はほぼその目的の為に有ります。
大口径の簡易双眼化は、もっとも、低倍率とは言いがたい倍率ですが・・・。
何れも倍率を上げるにはアメリカンサイズで、まかなえるので、その鏡筒に対しての広角低倍率簡易双眼化が目的となります。
この「観望記」の中にも書いていますが、30センチ以上の双眼で銀河や天の川を体験すると、100万円でも手に入れたくなります。

本質的な双眼理想は、やはり「双眼望遠鏡」になるでしょう。
ところが、
2インチ双眼装置を使う事で妥協できるメリットもいくつか有ります。
・同じ分解能でいえば、半分の大きさで、低コスト。
・超大口径双眼視が可能。
・手間のかかる視軸調整が要らないので、楽である。
・フィルターが一つでOK!
等でしょか。また、
・十分な瞳径で使用するので、暗くなるデメリットはあまり気にならない。
・鏡筒のカスタマイズも手法さえ解れば難易度も低い。
おっと、デメリットが、鏡筒のカスタマイズだ。
ドブの場合、
・接眼部の強化。・・・市販で可能なものもある。場合によっては特注。
・鏡筒の短縮。・・・トラスであれば、簡単にアタッチメントが作れる。(miyaさんに聞いて)ボイドは主鏡側をカットするだけ。
・斜鏡の交換。・・・あまりこだわらなくても最初はかまわない。
屈折の場合、
・鏡筒、ドローチューブのカット。(シュワルツ120ツイン製作を見てね)
その他、
・光路長が200mmは必要だが、アイピース直付け及びドローチューブの改造で、160mmまで短縮可能。
てな訳だが、自分でやるわけだから好きにやってくれ。

バリエーション
・口径の大きい手持ち双眼鏡があらゆるパターンで楽しめる。(手ぶれ防止機能はどうでしょう?)
・双眼装置製作にプリズムとミラーの選択が出来る。反射大口径なら、ミラーを使い色重視。屈折ならプリズムを使い明るさを確保。

さあ如何かな?
変な人格になってきたので、今日はここまで。
そう遠くなく、
「製作の巻き!」をはじめる予定です。

3月9日
冬の空もそろそろ終わりとなり、春の霞が近づく頃だ。今週末と来週末が関東で透明度の最終時期、気圧配置から行くと今日がベストで来週はあてにならない。
昼から、笠井トレーディングの移転放出販売へ向う。
正午より開催の所へ30分遅れで到着する。少し考えが甘かったようだ、残された物はこの場合「福が無い」。
笠井社長と談話の後わずかなジャンク品を手に吉祥寺より、秩父栃元へ向った。
おおよそ4時間日没前に到着。明るいうちに「SD-80」を「33ツイン」のファインダーとして取り付ける。マウントは先日「スカイバード」購入していた。
 
 本日先客は2名。20センチ自作反射経緯台仕様ともう一人はシュミカセにCCD、3人で早速
「イケヤ-チャン彗星」を探す。
たまたま手持ちの「星ナビ」があり、たやすく発見、3センチ双眼鏡でも長い尾が見える。
見事な彗星である。8センチファインダーで捕らえると2度以上の長い尾が見える。
33ツインで
50倍1.68度覗くと綺麗なブルーの彗星である。核が恒星の様にくっきり明るくその周りを淡いブルーでまとい、そのまま長い尾と成って視野から飛び出していく。彗星を視野から外すと、サーチライトを見ているような様である。視野で測って行くと。2.5度ぐらいは有る。光度は3.5ぐらいだろうか?33ツインで見ているとあまりの明るさで見当がつけにくい。とにかく、こんな立派な彗星は、私の経験内では最高の物である。この先注意していきたい。

 今日も、春の銀河団狙いが本星だ。それまで、少し見慣れたオリオン周辺を流し時間を潰す。
透明度は久し振りに良い、シーイングは普通で決して良いとは言えない所だ。が、
M42は相変わらず見事だ。この星雲の立体的で雲のようなコントラスト、決して写真では感じる事が出来ないだろう。実際に色も良く見えるし、明るさのダイナミックレンジは肉眼のみでしか感じる事は出来ない。
O-Vを装着して、バラ星雲を見る。装着前は、星雲の濃い部分のみが良く見えていたが、装着すると濃い部分の暗黒帯が解る。中心付近の花弁状も解り、初めてバラ星雲全体を見た。大口径ツイン+フィルターに因って始めてなせる業であろう。
今回は周辺の
NGCナンバー回り確認して仮眠する事にした。

 33ツインのの状態だが、スパイダーを加工して来たが、まだ剛性が足りないようで、強引に手で動かし修正をしている。
それにより、また光軸が狂い始め、不快だ。しかし、他に観望者がいるので明かりを付けて治すことが出来ない。我慢しよう。
軽い食事をし仮眠をとろうとすると、隣にいた20センチ反射の「市川?」さん、がラーメンをご馳走してくれた。ご馳走様!彼は、テントを張り、アルコールを取りながらのんびりとした観望スタイルをとっているようだ。羨ましい。明日のスケジュールを考え、帰宅時間を計算しながら忙しく飛ばして帰る自分が貧しい。

2時過ぎに目覚め、目薬を差すとコンタクトレンズが外れ落ちた。
大変な事である。コンタクト使用者で無いと解らない事だが、暗闇で探す事は彗星を探すより困難な事に感じる。使い捨ての乱視が入ったコンタクトで、今日に限り予備を持ってこなかった。しかし、今回は偶々発見する事が出来た。「イケヤ-チャン彗星」アリガトウ???
あまり同じ条件の人はいないと、思うが双眼望遠鏡を使用するに当たって大事な事をお知らせしておこう。
「乱視入りのソフトコンタクトは、長時間下を向いて使用する事が出来ない。」
どういう事かと言うと、乱視用コンタクトは下が厚くなっていて重力でレンズの位置が正しく決まる構造なのである。したがって真下を向いた状態では上下が無くなる。そこへ球面構造へ涙が溜まりだすと、レンズ自体が方向性を失いまばたきによって乱視矯正位置を見失う。
一度向きがずれると回復にも時間が掛る。
乱視矯正が、
よけい乱視を強くし、星の点像を失う。
私が、33ツインの光軸不良に気づきにくいのはそう言った目の状況の為また、下向きに覗く33ツインの構造の為、鏡筒の問題か?目の問題か?確認に時間が掛ってしまうのである。そう遠くなく、矯正手術を受けようと思う。

春の銀河団は、前回と同じように楽しむ事が出来た。シーイングのせいか多少コントラストに欠けるが。
ふと気づくと、さそり座が随分高く夏の天の川が見え始めている。夏の大三角も見え出した。
M13を見た後、大三角周辺のM天体を流し、O-Vを装着。網状星雲を見てみようと思う。今迄、見た事が無い。大体の位置へ筒先を振ると、見事に雲が乱れ入り、長く続く網状を発見!!凄い。「い」の字の小さい方もはっきり見える。フィルターを外すと、今までわからなかった星雲が判るようになった。しかし、O-Vの効果は絶大である。これほどまでに見え方の差が有るのは驚きだ。試してみる事を進める。
M27は、アレイ部分が、露出オーバーのように白飛し大きなラグビーボール状である。

 フィルターを外し、天の川を銀河中心へ昇って行くと、思わず息を呑む。もう言葉であらわす事が困難な・・・物凄い美しさ!登る前の細い月の明かりが、バックをブルーにしているせいも有るのだろう。罪悪感を感じるぐらいだ。

 射手座、さそり座周辺のミルキーウェイ、その中のM天体。それぞれが宝石をすりつぶし、海にぶちまけ、太陽が波に揺られ照らし出した瞬間。それを「宇宙箱眼鏡」は見た・・・・。
「生で見る宇宙」、これは、無限の芸術を所有する趣味であろう。



2月19日
33ツインの2インチ天頂ミラーを加工し終わり、テストを兼ね自宅から40分の川島町河川敷にて深夜観望をした。
天頂付近、肉眼で4.5等が見えるかどうかの暗さ。南は東京で非常に明るい。
視軸も完璧である。しかし、鏡筒角度により斜鏡が動きやすい。スパイダー補強の必要性を感じる。単眼では2本スパイダーで十二分であるが、双眼ではわずかなズレも許されない。近く4本へ変更を決める。

観望ターゲットは、
M104NGC4565ω星団である。
天頂のメシエは、乙女座銀河団を含め一通り、容易く見た。
81.82は、余裕で視野に入る。
104、4565は、空の明るさからそれなりだが、暗黒帯は、容易く見える。
ω星団、実は初チャレンジである。普段の観望地は地平から15度位覆われていてチャンスが無かった。
今日の場所は、カーナビで見当をつけ見つけた。近場にしては素晴らしいロケーションである。
地平近くまで見渡せる。しかし、当然光害という奴に侵されている。
雲が消えたチャンスに、大きな星雲を見つけた。1,68°視野の1/6以上ある。
全然分解する事は出来ないが、この明るさの中に見えるとは立派である。
ただし、
光害カットフィルターは前提であるが。

2月11日
ここの所、本格的に観望はしていない。先月一度、栃元へ行ったきりだ。
その時は、シーイングが非常に良く
「木星」を楽しんだ。
大赤斑ならぬ「ビッググレーアイ」の渦の濃淡まで見たのは初めてのこと、こういった日に限り誰もこない。
1台お門違いの宿泊車両、その内望遠鏡を出すのかと思えば帰るまでそのままだった。
そう言えば、トイレは無いかとアベックの車が話し掛けてきたけど、「山はどこでもかまわんよ!」と答えてやった。
所で、栃元にはトイレの看板が立っているが、何回探しても見つからない。どうなってるの?しし座の時も結構困っている女の子がいたようだ・・・。

話は戻るが、木星を300倍双眼で見ていて気づいた事だが、右側の光軸が狂っていて、片側はダメだった。
中高倍率は、今迄シーイングと、コンタクトレンズのズレで追い込んではいなかった。


さて、昨夜は、光軸調整の追い込みを会社駐車場で行った。AM0:00
結論として、右鏡筒の斜鏡センターを3mm接眼鏡側へ移動して完了した。
これは、恒星を覗き込んだときコマ収差の向きが鏡筒側に有る事に気づいた結果である。
あまりフラットなアイピースでは解らなかったかも知れない。

両眼とも非常にシャープな星像に変った。周辺は仕方が無いが、60%ぐらいまでは崩れない。
もう少し追い込むことは出来そうだが、実用上十分である。

接眼部を低い物に換えてあるので、ワイドスキャン30mmの出番がやってきた。
双眼50倍、瞳径6.6mm、実視界1.68度。
このスペックを、やっと手に入れることが出来た!!

ただの星たちを見ても、輝きが違う、色が違う、まるっきり世界が違ってしまう!!
朝霞から、おとめ座銀河団も幾つか見る事が出来た。素晴らしい!

3:00頃から雲が出始め観望を中止し、2インチ天頂ミラーを加工すべく、購入したばかりのフライス盤の前に立ち、しばらく思いにふける。
望遠鏡を手に入れ5年、双眼望遠鏡を製作し始め3年、何故にここまでやるのだろうか?
自問自答してみる。
知り合った双眼望遠鏡の猛者達を思い浮かべる。
「マアいいかぁ、きっと皆、俺と同じであまり何も考えていないんだろう・・・」

さて、作業に掛ろうと準備に入る。
まだ動力もつないでいない。アタッチメント類はまだ1部しか揃っていない。とりあえず流用品でまかなおうとガラクタを準備。
ここで気づいた!なんちゃってバイスの口が50mmしか開かない。天頂ミラーは60mm位ある。
「もはやこれまで」・・・
AM4:00 帰途につく。


12月15日18:00〜27:00


本日は、新月、冬型の気圧配置も強まり前日に続き良い天気である。
ここ栃本広場は、飯能天文同好会のホームグランドである。新月前後の土曜の夜は、ここへ大勢が集まる。
案の定、到着した時は大小20以上の望遠鏡が並び、闇に包まれながらも壮観である。
邪魔にならぬよう割り込ませてもらう。

先週に引き続き
「打倒馬頭」である。しかし、オリオン座が南中するのは深夜でそれまで時間を潰さなければいけない。
こんなに早く到着したのははじめての事である。その理由は、やはり、同好会の人が多い場合、写真を行っている人がおり、後からの到着で迷惑を掛けぬよう、又本日はファインダーを取り付けるため明るい時間の到着を目指していた。そのような訳である。
結果は日没後であったが、驚くばかりの人であり、たまには同化して見る事にした。

北からの季節風が日本海から運んだ水蒸気を雪の形で撒き散らし、乾いた空気として関東へ流れてくるはずだった。
しかし、本日はそうではない。
来る時に関越自動車道から見た北の空は、山の上まで完全に雲が残り、余が平野まで流れ出している。
やな予感はしていた。
北側は曇り、上層は薄い水蒸気の膜が出来ているようである。当然ここ上空は関東の明かりが届いているところである。
夕闇が過ぎても一向に暗い夜空に変らない。風も強い。

久し振りの会の方と会話をしながら深夜を待ち、合間に観望を重ねていた。
33ツインをお披露目しながら、様様な鏡筒を覗かせて貰う。
今日は、持ち寄りの話が合ったようで、「テレビュー」製品が10本以上、壮観である。ドブも会長?の40センチ、他45センチも揃っていた。
当然そこには、「毒キノコ」が装着されている。
恐ろしき「テレビュー」。

結局、最後まで天候は変らず、大口径では星像がボデボテのまま、透明度も良くなく光害に埋もれた空である。
それでも星雲はそれなりに見え、M42を皆様へご披露した。
会長の40センチで、大変な物を見てしまった!!
何と、Hβフィルターをセットし、オリオンへ鏡筒を向けてしまった。
「たぶん見えないよ」の言葉で安易に「馬頭」の位置を確認し、毒キノコにかぶりついていると、確かに、暗黒帯があるではないか!鏡筒を少し振って見ても明らかだ!
ついに見てしまった。「馬頭星雲」である。
「打倒馬頭」で作った「33ツイン」が、横で泣いているような気がした。
あらためてツインを覗くと、やはり、あるかないか???
40センチフィルターなしより、見えるような気がして、少し慰めとする。
会長曰く、「見えるというのはこんなもんじゃないよ!!」との事。
いい空に会うのが先か?フィルターを手に入れるのが先か?

明るい空ながら、しっかりしたM銀河を一通り見終え、マイナス2度の中帰途へついた。
(ちなみに、私は「飯能天文同好会」ではありません。)


12月8日PM10:00〜25:30

仕事を終わらせ、その足でレンタルコンテナへ向う、わずか数分で積み込み準備が終わる。
「何と素早い、何と楽なんだろう!」
確かにコストはかかるが、これこそお気軽観望の為の最大の工夫であるように思う。

栃本に着くと、先客が3名居る。2人は写真、1人はシュミカセ20センチ眼視である。
挨拶をする前に数分でセッティングを終わらす。
先ずはミラーを馴らすことが先決である。
空のコンディションを確認する為、アイピースに目を落とすと、多少上空の水蒸気に関東の明かりが薄っすらと感じられ、土曜の夜を教えられる。
今日は夜半に月が出るはずである。3時間がリミット。オリオン回りを見始めたところで、先客より声が掛かった。

「何ですかそれは?」
ああ最近良く聞く言葉だ、ここの所、返事は決まってこう答える。
「タンスです」・・・すると、「どうやって見るのですか?」
ああっ、まじめな返事だ。ちゃんと答えないと又、本当のタンスを改造した望遠鏡と勘違いされてしまう(^^;)
一通りの説明の後、観望をさせてあげる。
続いて、写真はの2人とご挨拶、1人は35年のベテラン。「大口径の双眼で見る
M42は凄い。目に焼き付けていきます!」と、網膜に焼き付けているところはさすがベテラン技!
また、ここでお会いしましょう。

今日のテーマは、
「打倒馬頭」
しかし厳しそうな空。
倒立鏡像で前回は場所が特定できなかった為、今回は写真を反転コピーしてきている。
場所は特定できた。なんとなく見えるようだ、いや、錯覚だ。
前回より空が明るい。もう少しの所である。
おそらく先週の空なら見えただろう。
又今回も勘弁してやる事とする。「首を洗って待ってろ!!」

先客の皆さんにお見せしながら、一通りのメジャーどころをお見せしながら、「御観談」。
1:00を過ぎた頃
「月」が昇ってきた。
低空であるが、2インチを挿入して観望。
大気の揺らぎが激しいが、素晴らしい見ごたえである。
海の色の違いが凄い。クレーターの凸凹が気持ちよいほど立体的で、写真等をあわせても今迄で一番綺麗であった。
かなり眩しい月だが、本日最後の対象であり思う存分楽しんだ。
勿論、35年のベテランは、網膜へバルブ状態であるのは言うまでも無い事である。


2001/11/25 AM3:00〜5:20


昨夜、33ツインを出動させるべく事務所より搬出中、残業を終えた社員に惑星を見せる事となり、1時間少々の観望会を行ったため、現地到着が遅れた。しかし、本日の観望テーマは、「春の銀河団」、丁度良い時間でもあり、月も完全に没している。

ここ、秩父「栃本広場」は、土曜の深夜に関らず熊一匹居ない静けさである。風も無く、何時もより一層天の川が濃く、星が明るい。
標高500M位までは、靄が出ていてそれを抜ける事になり、平野の光害をかなり覆う事が期待され、眠気も覚ます道中であった。
デリカの高度計が標高1100M近くを指している。
早速、33ツインをセットする。と言っても、3分も要らない。
ミラーの温度順応のため、窓を開けながら走っていたが、外気温は丁度0℃。食事をとりながら、先週ここで見た「しし座流星群」思い起こしながら。しばらくミラーを馴染ませる。
いまだに、しし座群らしい火球クラスがいくつか流れる。しかし、良い空である、15分で待ちきれず観望に入る。
まずは、正面の
「M42」、60倍で全景を楽しむ。素晴らしい、少し上空の気流で恒星は瞬いているが、ガス自体は影響はない。
次は125倍で、羽の広がりを楽しむ。何時も思うが大口径で見ると「雲の盛り上がり部分」のリアルさ、写真では表現できない細かい入り乱れに感動する。
トラペの上の暗黒体、今日は鳥の羽を広げたと言うより、全面に広がる濃淡のガスを、黒い雲が覆っているように細かく見える。
この姿を独り占めしているのは何か、申し訳ないようだ。
この分なら馬頭はいけるだろうか?

そのまま上がっていくと、
「燃える木」が飛び込んできた。薄っすらと水素ガス系?のベールが目的位置までつづいている様だ。
未だ見た事のない
「馬頭星雲」の暗黒帯を探す。しかし、裏像に慣れていないため、記憶だけで正確な位置がわからない。
今一、確定できず、仮に見えてもこの状態では慣れないと解らないと思い、今回も勘弁してやる事にした!
そのまま、また上がって行き、いくつかのM天体を流し、
バラ星雲で止まる。60倍に戻すと、初めて濃いガスを見ることが出来た。
フィルター無しで、こんなに見えるとは・・・

次は立ち上がった「北斗七星」へ向う。
M81・82は非常に明るい銀河である。今日は少しそらし目にすると、明らかに渦の巻き加減がわかる。ここまで見るのは初めてである。
フクロウ星雲も目が解る。
お気に入りの銀河
M51まで来る。明るく大きい。少しそらし目にすると、見事に渦が見える。けして綺麗につながっている訳でなく、巻きながらブツブツ途切れて、濃い腕が巻いている。シングル32センチでは見えなかった光景である。
これなら,
M101はどうだろう?
やはり、凝視すると大きな閃光だけ。少しそらし目にすると・・・、見えてきた!やはり腕はブツブツと濃淡でつながり渦が巻いている。
素晴らしい!!


髪の毛座が平野の明かりの淵位までどうにか上がってきた所で、本日のメイン、「銀河団」へ、突入となる。
一つ一つの、コメントは避けるが、それぞれの銀河の形が解る状態である。写真のようだ!
一つだけあえて言うなら、大きな驚くものが導入された喜びである。
「NGC4565」
125倍、0.56度の視野の半分以上を、二分する様な鋭いエッジ、中心部を横切る暗黒状。
そらし目の必要なく、浮かび上がる不思議な光景。
見惚れるにふさわしい時間を、消費した。

薄明かりまで残された時間は少ない。焦る必要は無いのかもしれない。しかし、大熊から乙女まで、惜しむように、貪る様に鏡筒を動かして行く。

「ザ・スカイ」と言うソフトを持って要る。
ここの銀河を拡大していくと無数の銀河が現れてくる。
眼視では、ほとんど見えないだろうと鷹をくくっていた。
今、目の前に、何等か見分けられない小さな恒星と同じような大きさの銀河から、これこそ数え切れないほど次から次へと確認できる。
驚きだ!

今後は、諦めていた他の銀河団へ、訪れていこうと思う。
ちなみに、ここ、栃本は、低気圧の通過直後、関東平野上に雲が残っている時。平野部に濃霧が広がっている特は素晴らしい空となる。
33ツインを手にした今、これから先を思うと、無上の喜びがこみ上げてくる。

天体双眼望遠鏡トップへ戻る