☆双眼望遠鏡観望記☆下へ行くほど古くなります。

眼視観測によっての望遠鏡の性能は、決して数値で表せるもので有りません。
従って、ケース・バイ・ケースで汲取って頂きたいと思います。

 2002年
 2003年


 2004年

2004年を振り返って・・
今年は武蔵五百が完成し月1度程度の出動を辛うじて行ってきた。
忙しい仕事の中で我ながら精力的ではなかったかと振り返る。
後半には富士山へ数回、サミット(愛知県スターフォレスト)へ2晩3回に一回はまずまずの空で楽しめた。

四季の全天の天体を見ることが出来た。
実際の所、500mmの口径ですべてを見ることなんて私の星図ではとてもとても・・・

メシエはほとんど、NGCなどは比較的有名な物を少々見たに過ぎない。
五百ならではは、アンドロメダのG1、ステファンの五つ子、○×△・・・どうも簡単に思い出せない。
しかし、観望地には必ず人間ナビゲーターがいて素晴らしいマイナー線を引いて頂けた。
来年は是非自己導入出来るようにしたいものである。

感動的な対象は、打って変わってメシエ関係に多い。
M17等の星雲を強拡大して構造が見えてくると、宇宙に物質がうごめいている感じが伝わってきます。
M31などの大きな銀河は星雲ではなく恒星の集まりが感じられるような気がします。
球状星団は本当に美しいですね!
また、系外銀河はたいてい形が判るようになってきて、「渦巻き」「棒状」「エッジオン」・・なるほどね!って、わびさびから写真のような実体へ、写真より繊細な構造の発見へと変化いたしました。
トラペジウムもあんなに沢山隠れているとは驚きでした。
網状星雲も凄かったな・・、馬頭もノーフィルターOKで、結局Hβフィルター買わずじまいです。

その様に大口径を堪能しましたが、それによって中口径ツインの面白さも引き出せるようになってきた。
さらに小口径の面白さも安心して楽しめるようにそれぞれの持ち味と言うものが理解できて、望遠鏡のコンディションでチョイスの楽しみが増えてきた。
この先に小口径の反射双眼望遠鏡を製作することで銀河関係は思う存分楽しめそうで、新年の楽しみも残った。

惑星関係は時期が悪く、火星が終わった途端見るものが少なくなり自宅観望は少なかった。
年末には、木星も上がり始めたので年明けが楽しみになる。
MNとMKで順部万端である。
総じて双眼オンリーで来てしまったが目で見る天体は実に当たり前で、単眼視は考える事は出来ない。
双眼視の実に奥深い見得味を来年は表現してみようと思う。


6月13日 新富士5合目
 「武蔵五百」とトラさん

多忙の中予定していた12日の出動は天候不良のため諦め翌日の天候回復から急遽出動した。

「武蔵五百」完成後、未だベストな空の元へ足を運んでいない。
本日、低気圧通過後の素晴らしい状態が見込める。地表に残った水分も高気圧により低層での霧、雲へ変化しそうであった。
22:00頃到着すると、数名の観望者がいるようである。月の出現が1:30頃と記憶していたのでミラーの温度順応を考え即座に「武蔵五百」をセッティングする。
急な用意で確認を怠った等倍ファインダーの電池切れ、80mmファインダーの止めボルトの折れ、満天の元トラブルで始まった。
南天の低空は雲に覆われ抜けが悪いが雲海が広がる。この後の変化が読めない中ファインダーの補修にガムテープで苦労しているとオーストラリアの話が盛り上がる2人に声をかけられる。
おなじみの2人である。そのうちの一人トラさんはなぜか平日の良空の下で会うことが多い。
私を入れて??晴れ男が3人となったこの新五合目にはこの後が期待できそうだ。

話しながら手直しを終えると雲海も引いてしまい光害が進んできた。温度順応もままならないうちにM天体を確認する。まあまあであるがシーイングが良くコントラストが良い。
M81・82が沈む前に確認をと鏡筒を向けるとファインダーが合わず中々見つけられない。そんな中明るい彗星が飛び込んできた。今期未だ見ていなかった「ニート」のようである。50センチの光景が減光している彗星を驚くほど明るく見せてくれた。

次第にまた雲海が広がり始めてきた。撤収の頃には伊豆半島の光も8割ぐらい押さえられ、また澄んでシーイングの良い空で撤収まで保たれた。因みに気温は5度で風も殆ど無い状態である。

サソリの全景に至るまで天の川も確認できた。今まで来た新五合目で最良の空となった。天の川はくっきり見えるがそれ以上に肉眼でエッジがとてもよくわかる。望遠鏡無しで見とれてしまう。
レーシックも終盤の見栄で人生上では最良の星景である。素晴らしい。
その上で、50cm+2インチ双眼を楽しめるとは、なんと無上であろう。

さて、「武蔵五百」であるが、ファインダーの不調で導入には苦労するもののベストな空元ファーストライトの結果が出た所だ。
南天の星雲は70倍で完璧である。クローズアップに160倍を用いると球状星団の分解は物凄く、輝く針先の集合のようである。M17を160倍で見るとフィルターは不要で詳細な構造が手にとるように解りいつまでも楽しめる。
大型のギャラクシー達は確実に腕を見せてくれそらし目は不要となる。両目で違和感無く姿が現れる。
網状はO-Vフィルターを使うが明るくコントラストが良く、トラさんが今まで見た中で最高だとほめてくれる程であった。安田氏のガイドで大口径ならではのギャラクシーも楽しめた。
ヘラクレスの銀河団、ステファン・・・ステファンは256倍にすると五つ子全てが鮮明に浮かび上がり思わず笑ってしまう。口径が在る分暗い銀河は倍率を上げるほどはっきり見えてくるのである。
最後はアンドロメダのG1を確りと拝むまでに至り「武蔵五百」のポテンシャルが証明できたようだ。

50cm+2インチ双眼装置で物足りない場合ツイン化の構想もあったがこの状態ではその必要はなさそうである。
2インチ双眼装置の口径比で蹴られが無いために暗さは全く感じない。返って両眼視のメリットが上回ったと言えそうだ。
「大口径双眼狂」のコンセプトも無事にマスターした様で今後はベストな空探しに頭を痛めそうである。
雲海狙いのギャンブル観望に通う事と成るのだろうか・・・



4月24日 県民の森(武蔵五百ファーストライト)

2in双眼仕様50cmドブソニアン「武蔵五百」のファーストライトを行うべく早めに仕事を終了し天候を気にしていた。
天気予報ではどこも大方快晴のようである。しかし、西高東低の冬型となり北風が強い。
武蔵五百は鏡筒長が230cm少々直径が57cmあり強風は苦手である。
当初富士でスタートを切りたいのはやまやまであったがいきなりなぎ倒されるのも辛い。
又スタート地点では完成していない鏡筒の部品を探しながらの移動となるため結果的に「埼玉県民の森」となった。
掲示板に携帯から書き込みをした。

スタート前に耳軸の受けに使うテフロンを切り出し旋盤で溝をつける加工を済ませ「33ツイン」からファインダーとマウントを外した。
鶴ヶ島に出来たスーパー大工センターカインズホームに立ち寄り回転ベースの下に引く80センチ位の丸テーブルを探す。
良い物が無く今回はフラットな観望地の駐車場と言う事で回転ベース直置きとすることにした。

日没ごろ到着。常連で住み着いている???(嘘です。)市川さんに久々にお会いする。暫し工作をするのでよろしくと・・・。
テフロンをインパクトドライバーでバババ・・・と山に響かせ、ファインダーを取り付け、やっと完成する。

組み上げるとさすがに大きさを感じる。
早速光軸をあわせる。しまった!主鏡にマーキングを忘れた。(大汗)
しかし、体力的に再度組み上げは辛い。
アイピースを外し覗き込むとそれぞれのセンターは、ほぼ良さそうである。金星を導入しピントを外し斜鏡だけ合わせる。
ピントを戻すと見事な三日月状の金星が揺らいでいる。
実に見事としか言いようが無い。今までのどの望遠鏡より迫力である。72倍でも大きさを感じてしまう。
次に月を入れると視野より一回り小さく全景が入る。影の部分に海の模様がとてもよくわかり楽しい。シーイングのせいもあり驚くほどでもなかった。

早い時間の空は光害に犯され銀河は空に埋もれ夜半を待つ事とする。
今まではドコモの携帯で連絡の取れる当地だが先月より「フォーマ」に変えてしまったせいで携帯が圏外を示している。
YAMAさんが駆け付けるかもしれないとの事だが連絡が付かない。

が、sekitaさん、YAMAさんがお付き合いに駆けつけてくれた。
とても幸せなファーストライトである。
途中、30inドブのオーナーにも再会する。本日は20inF4ドブであったのが少々残念・・・
夜半になりいよいよ銀河テストである。

率直に実感した事を言います。
今日の状態では30センチの方が銀河は美しく見えました。
50センチで見たM天体は反らし目はほとんど不要で明るい空の中より明るく見えるのは確かですが、いくつかの問題を抱えているのでしょう。

見易さで行けば今までにない程存在がはっきりわかり、今まで見えなかったような小さな銀河も沢山見えてきます。
実に双眼50cmの世界でしょう。
M13の星数はきめ細やかに粒子状に沢山見えます。M81・82なども非常に良く見えます。33ツインのまあまあの空で見たような感じです。
ただ、今ひとつ納得の行かない状態です。
恐らくこれだけ明るくシーイングが悪いと口径負けしているように感じます。
この点は、もっと暗く安定した空を求めないときびしそうです。
コントラストが悪い原因は基本的に光軸が出ていないのでしょう。

実は今この観望記を書いているのは5月2日です。
「武蔵五百」を調整している最中に書いています。
主鏡のマーキングや細かい調整点をいじっていまして最終的に光軸調整をしていました。
簡単に軸が出てシングル鏡筒はなんて楽なんだろうと思っていた矢先、双眼装置の角度を変えたとたんレーザーの点が弧を描く事に気付きました。
「大変だ、フォーカシングスライダーがずれている」と思い止め金にワッシャーをかませたりで垂直の出し直しです。
加工精度任せだから確認をしていなかったのが結果として現れた物として調整を繰り返していたのです。
かなりの時間がかかり疲れから休憩を取って書き込んでいます。

結果的に今調整は終了出来そうにありません。
何故なら根本原因が双眼装置にあったのです。
簡単な話、長い間自動車に積みっぱなしだったせいでしょう・・・。双眼装置自体の軸が偏芯していたのです。
先に確かめればこんな苦労は無かったはずです。ただ、ここに精密ドライバーが無いので双眼装置を調整できません。
自宅に帰って直してから光軸を出し直しです。はー、って感じです。

しかし、最初に軸を合わせた段階で気付いたのですがこの状態であそこまで見えていたのなら十分満足が出来るほど軸外れていたのでした。主鏡のマーキングはとても大事だと言う事ですね。
もしかすると、多少の光外でももう少しコントラストが上がるように思います。
このGWは満月&曇りでどっちにしても星見はお休みです。
じっくり武蔵五百を仕上げたいと思います。

脱線話:
昨日の夜、実験のためにビノヘルパーを自宅観測室へ置きに行きました。天気は曇りなので本来は行く予定は無かったのですが家族にビノヘルパーを邪魔にされない為、たまたまです。
明かりをつけると、何とビックリです!GP赤道儀に取り付けてあるアルター5Nが床を向き取り付けてあったはずのビノビューが床に落ちています。
良く見るとGPにステラガイドのケーブルが2周巻付いています。
「なんのこっちゃー!」です。絶句です!

そうなんです。
前々の晩に惑星を少々見て寝たのですが、モーターの電源の切り忘れです。私の場合、ACアダプターで電源を取っているので永遠に廻ってしまいます。
三脚にビノビューがもぎ取られぐるぐる動いていました。
2inのスリーブは口を開け、変な角度に鏡筒は向き、ビノビューのチャックはガタが出ていました。
とてもガックリですが、気が付かなければケーブルがちぎれコントローラを巻き込みぐちゃぐちゃになる所でした。
皆様も気をつけて下さいね!何てことは無いですか。(^_^;)

と言う事で、「武蔵五百」は、次の観望に期待です!!



1月2日 プラトー里美(茨城県)


1月1日除夜の鐘が響き、何気にスライドルーフを開ける。ふと、明るさを感じカシオペア方面を見上げると、-5等ぐらいの火球が点像を崩さない速度でゆっくりと北極星の脇まで流れて行った。
正月の暗い空が冬の星座を強調し満天の空へと訴えている。

今日から女房の実家茨城県鉾田市へ向かう。
夜、冬場のコンディションの良いとされる「里美」へ初観望に行こうと思う。

北浦の外れ鉾田市から91km、一般道で1時間半程で到着する。途中アイスバーンを追加すれども残雪は少ない。
埼玉からでも2時間半ぐらいで着ける距離だろう。
標高は1000m弱を高度計がさしている。気温は-1度。風力発電機が一基、昔ながらの風車が一棟そびえ周りに動物たちの声が聞こえる。到着は11時、まだ月も高く機材をセットしていると雲が流れてきてびしょ濡れになる。携帯電話を目覚ましに使い眠りに入る。

3時に目覚めた。
周囲はなかなか素晴らしい暗さである。
しかし、多少雲が流れ、又、水蒸気も多いようで機材にかけたブルーシートが霜で凍り付いている。
ここは第三駐車場である。他も見て回ったが開け方としてはここが良いようである。なぜか?誰も来ないで私一人の貸きり状態になっていた。
風力発電機の音が唸る中、観望に入る。
セットしたままのワイドスキャン30アイピースが冷たくなりすぎてすぐに曇ってしまう。ファインダーも同様である。
天頂近くにある大熊座のM51をファインダーで探す事が難しい。何度かティッシュで曇りを取りながらやっとの思い出導入した。
水蒸気で多少コントラストは落ちるが非常に濃く見える。秩父栃本の良い頃の感じである。
早速UW-14mmに取り替える。
大きく渦を描き小さい銀河へ尾を向けた姿が反らし目によってくっきり解る。久しぶりに見事な姿を現した。
個人的に一番好きな銀河で今年の第一導入に決めていた。
この状態で抜けが良くなったら何も言うことがなくなりそうである。
33ツインの最も凄い所で、こういった時他に観望者がいないのがいつも残念でならない。
この姿を見たら、大型ハンソーを欲しくならないわけが無い!!!

そのまま倍率を変えずにファインダーの等倍ファインダーで101、から大熊のMを一通り見る。
ここでの銀河の姿は、それぞれの形が良くわかる。アイピースも光軸も効果があるのだが、やっぱり空の暗さが大きい。
次は、髪の毛を通り乙女へと向かう。
こんなに銀河の形が解るのは初めてだ!少なくともMレベルは棒状・渦巻き・Sなど本当に良くわかる。
面白くて、乙女周辺をぐるぐる回ってしまう。エッジオンは4565や小さな物まで良く判別できる。衝突している姿もハッキリクッキリお正月バージョン取りっきりって感じである。104も見事であった。

3時からの観望なのであまり時間が無く獅子を見た後からす座の下のほうへ鏡筒を向ける。
双眼鏡を出し確認したが、山並みの木の一段下がった辺りにオメガがぎりぎり見えそうで・・・無理であった。
この暗さでオメガが見れたら・・・ざぞ凄かったと思う。
電波を見たが、今一水蒸気に邪魔され存在確認に終わる。

テーブルに置いておいた星図が凍りつき破けてしまった。
全てがバリバリに凍り付いている。
この霜は非常に辛い。
椅子もちょっと油断をするとパリパリになり後が厄介だ。

今年の初観望、月が冬の星座を隠したものの2時間少々ではあるが久しぶりに素晴らしい春の銀河団を楽しませてもらった。
幸先の良い観望であった。
帰り道も一般道を殆ど信号に邪魔される事なく、ほぼ80kmペースで走れる穏やかな道である。
次の新月は又訪れてみようと思う。

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