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無い物は作る!? 
「リッチフィールドアイピース」
  60°

 2006/2/13 ビクセン LVW22mm/70°

お金が無くてもリッチフィールドを手に入れる法!!


RFTを楽しむ無ため不可欠なワイドアイピース「ナグラー」シリーズ!!
そのために1個10万円近いコストを払える人は少ないと思います。
妥協をして見かけ視界を落としたり、周辺像妥協でコストを落としたりしても2万円は当たり前です。
ここでは1個あたり数千円の放出品アイピースを広角アイピースに改造する、お財布に優しい企画です。
(注:製造元が避けた事を無理にやりますのでそれなりの物です。)  自己責任でね!!!

経緯:前から不思議に思っていた事があります。
視野絞りという物がアイピースの中に入っています。バレルの中にあるワッカのことです。
それは何の働きをしているか考えると、やっぱり良像範囲を絞って「このアイピースはこんなに像がいいんだゾウ!」と、言わんが為でしょう?
プローセルあたりで見かけ視界が50度位で絞っています。

それと比べて広角アイピースを覗き込むとこの絞りが非常に小さいか無いことに気付きます。
ナグラーなどはレンズ自体の周辺像に自信があるのでバレルの口径一杯の見かけ視界を確保しています。

ワイドスキャン30mmや笠井トレ−ディングの広角タイプは結構周辺像が乱れます。焦点距離が長いものに対してはそのような事は少ないようです。が、リッチフィールドに使うとなると当然焦点距離の短い鏡筒で使う事と成り、究極の欲を言えばナグラー辺りを使いたい。しかし、手が届かない・・・ので、それに準じた広角アイピースの出番となる。
最もそれでも人の視力が十分機能する範囲は1°も無いので周辺は視力が落ちているので大した問題はない。ただ周辺までが見えていると言う事で天の川などダイナミックに感じる。そのような体感的なリッチフィールドは究極じゃなくても十分楽しめる事が解ると思います。

アイピースの開発者の意見などを聞く機会があり、思いが晴れて行動を起こし始めました。
最近笠井のWV32mmの視野絞りを小さいものに変えています。
元々短焦点でも素晴らしい結像を示すアイピースです。抜けも良く非常に気に入っています。しかし、でかい視野絞りが入っていて80度以上のアイピースを使っているとその視野の狭さが不満に成ります。
レンズ自体はまだまだ大きな視野を持っていそうなので絞りの小さいバレルと交換してみました。
ワイドスキャンより周辺が良いです。元々65°の良像範囲なのでそれ以上に素晴らしいアイピースに変わってしまいました。
実質75°以上の超広角アイピースです。

そんな経緯から、基本的なレンズの性能もありますが視野絞りの意味が???と感じていました。
専門家に質問をした所、カッチリした像がその製品の印象を作る為周辺のボケや流れを出すとそれが元と成った悪い印象が生まれるので良像範囲内で視野を制限する目的だ!と言う事でした。
つまり、迷光が入るとかという弊害の為でなく製品の規格を含め50°で統一するとか、その程度の基準だったようです。

なぁーんだ! (かなり、なめた考えですので真似をして失敗をしても一切責任を持ちませんのでよろしく!)
「スーバーワイドビュー32mm」は正解だったのです。
当然ナグラーじゃないので周辺は多少乱れますが、無理しているWS30mmより良いのです。




製作:セレストロン PL17mm 改造

初めて買ったアメリカンサイズアイピースです。もちろん特売品です。
その後もう一個購入しました。
未だに像の良さが気にっています。しかし、広角で双眼に凝っている実としては行き所が無くジャンク箱でかわいそうに眠っていました。
今回、この高性能アイピースを広角に改造します。
現状では見かけ視界50°です。恐らく70°位になるでしょう。

まず、バレルを外します。ネジを回すだけですが、結構硬かった。

 黒い中心のバレルが中に絞られていますので、それを削り尚且つ短く削ります。

 削り口。

こんな感じです。削り口はつや消し塗料を塗ります。

 バレルを戻せば出来上がりです。


旋盤に噛ませて削るので切子が入らないように養生はしました。延べで10分もあれば広角アイピースの出来上がりです。
さてさて、どの様に見えるでしょう?
周辺まで良像を結べばアイピースメーカーも危機感を感じるでしょう。か???

結果は曇っているので後日と言う事でお楽しみに!
と・・・、夜晴れたので早速テストしました。

テスト結果
対象:月をまずF6鏡筒 45倍で見ます。視野60°位まで問題なく広がりまずまずの成果です。その先急激に湾曲し月が卵形に引き伸ばされていきます。そのまま視界から出て行きます。ピント自体はそれほど狂いません。
倍率を上げ、150倍にします。(双眼装置とバロー使用)視界が広いので中心を見ている限り周辺の湾曲は解りません。視界から外して行くと残った像は漫画の掃除機に吸い込まれていくような姿で消えていくので面白い。(笑い)
それが印象に残るので、メーカーはそんなものを販売できないのが良くわかりました。しかし、10度ぐらい広げても大した問題はないと思います。
角度の比較は、笠井WV−17mmを使いました。さすがに70度の視野までは見えませんでしたので仮に65°広角アイピースとしておきましょう。

恒星:周辺の5°位は思いっきり流れます。次の5°は気にならない程度の流れです。後は問題なしで月を見た時ほど湾曲は感じません、月が明るく銀河・星雲を見れませんでしたがたぶん問題ないでしょう。


結論  後日談:
これは良かったです!

セレストロン PL17mm 改造 においては成功です。
しかし、60度ぐらいで止めておいた方が良かったかもしれません。
個人的には周辺の湾曲はOKなのですが、何気に知らず覗いた人はきっと周辺がひどいとケチを付けるでしょう。
PLの抜けの良い65°?アイピース完成でした。
次はどれを弄りましょうか・・・。

予定としてはきっちりとWV-32をレポートしましょう。
2インチの抜けが良く、安く、軽いアイピースです。視野が広がれば双眼装置にベストマッチとなります。


今後、アイピースを改造するごとにUP致します。



ビクセン光学 アッベオルソ9mm 

中短焦点アイピースは小さくていじり難そうで考えてはいませんでした。が、車の中で手に届く所にあったので信号待ちの時、ついつい・・・。
気が付くと爪で簡単に視野絞りが回ってしまい外していました。
こうなると居てもたっても居られません!
車載の80-SDでテストです。
   こんな可愛いので絞ってます。

結果:思ったほど視野は広がりませんでした。
火星を導入し双眼で左右の出入を比べた所1割位は広がっています。
周辺は薄暗くなって消えていきます。像の劣化は一切ありません。この程度の広がりなら視野絞りでくっきりした視野の方が気持ちよいような感じです。
さて、穴を大きく広げて見るべきか・・・。


結局、使用頻度が少なく、又赤道儀を使って惑星専用に使用しているため、R・Fの意味が無いので止めました・・。



ビクセン LVW22mm/65°→ 70° 

  良いアイピースなんですけど・・・、65度じゃ今さらね!せめて70度にならんですかね?

  アメリカンサイズバレルにスマイスレンズが入っています。で70度は行けそう。


   取り合えず、クルックルッと、外してみました。

スマイスを外した状態で使用してみると、少々倍率が下がったようです。ほんの少しです。
中心から50度ぐらいまではご機嫌にシャープです。
外周は、75度を超えるような広角で、周辺像は、安物広角より悪いかな?
笠井トレーディング 2インチ2枚玉マルチショートバローを当てて使用して見ると、意外とかなりな状態になります。
視野角も広いままで、焦点距離20mm弱ぐらいでしょうか?
周辺はワイドスキャンのような感じです。
しかし、中心像は極めてシャープで言う事ありません。如何しましょう・・・。

でもね!これじゃわざわざ買った意味がありません。其れこそWS-20mm買えばいいじゃん!てことになります。

そこで、写真を今一度見て下さい。
本来の焦点位置に、ビクセンの大好きな視野絞りが入っています。(くっきり大好き)
私的考えでは、間違いなく、100%良像範囲で切っていると考えます。如何でしょう?
分からない程度減光は起こるものの、バレル径一杯まで視野は広がるはずです。
「蟹目」があれば、簡単に試せるんですがね。

70度の視野が取れればOKです。
多少崩れても、65度までは100%あるので気になりません。
視野が狭いと、部屋内から窓越しにぞいているようで、宇宙を見渡しているような気持ちになれない現状よりいいんじゃないでしょうか?

一言言いたい!
「ナグラー爺さんよ!せめて焦点位置は0ポイントに収めてクレよなぁ」
勝手すぎるメーカーだよ。ホント


で、蟹目を探して旅に出ます・・・。

2006/2/11

蟹目の代わりに太いカッターの羽でチャレンジしたのですがビクともしません。
シンナーを流し塗料を柔らかくしても駄目!
おかしいな?と、ルーペで見ると、何とスマイスレンズの押さえ枠も兼ね確り止まってます。
いやですね!気が付きませんでした。本格的に老眼のようです・・・。
で、一体の押さえ枠を外してしまうと、後が大変なので、視野環だけを削り取る事にしました。
旋盤加工なので、元には戻せなくなります。どうなる事やら・・・

勝負です!!

 作業も、失敗は許されないので、チャックを手で回し慎重に削りました。

加工は慎重に行えば、なんて事はありません!
白いのは、紙をちぎってレンズのガードを作り挿入してあります。(たんにはさみが無かった・・)
押さえも銅の薄板が無かったのでやっぱり上を挟んでチャックを閉めています。


 削った部分判りますか?
             加工後                     加工前   

片方削り、アイピースを組み上げると、結構視野が広がり広角アイピースぽい視野です。
周辺の湾曲なども感じないのでもう一本も加工しました。
削り幅は、円周上に1.5mmです。

早速観測室のシュワルツ120ツインにて、テストライトです。
改造前は、視野中心を見ているときでも周辺にくっきりと丸い影を感じ圧迫感を感じていましたが、改造後は気にならなくなりました。
視野の縁の恒星を見てもキッチリと点像になっています。
反対側まで視線を大きく動かすと、視野の広がりを十分にかんじることが出来ます。
この視野で端から端までキッチリ見えるのは素晴らしいですね。
これなら十分に妥協はできます。
実際に何度広がったかは分かりませんが、恐らく70度オーバーでしょう。
視野中心を見た状態では周辺がやっと認識できるぐらいです。

今回の勝負は、「勝」のようです。
メデタシメデタシ!!

他の鏡筒でテストしましたら、あらためて御報告いたしましょう!

2006/2/13
ネリウスビノでじっくりと月等を見てみました。
どうやら満月のようです。眩しいですね!
このアイピース性能は、改造前と改造後で何ら変わることはありませんでした。
変わったのは視野が広がっただけです。
月を中心から周辺へ対象をずらしていっても色や像の湾曲・肥大など一切無く視野から外れて行きます。
角度的に84度アイピースなどと違い、周辺ギリギリまで目で追える範囲の口角なので視認性も周辺まで良く、素晴らしい視界です。
欲をもって周辺ギリギリを見なければ、十分でしょう。



こんな違いですが、一回り広くなった視野は気持ちがいいです。
ビクセンさんは何をもったいぶって65度にしていたのでしょう?

私の感覚から行きますとこんな感じでした。
もし広角にチャレンジするのでしたら、前もって私ので試してからお願いね!
責任持ちませんから。


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