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 「2インチ双眼装置製作記」

2003/5/21    いよいよ作業に入ります。
2003/6/13    1号機完成です。
2003/7/5     試作2号へ
2003/8/16 
2003/8/26    最新!リレーレンズ関係です。
2003/9/3    試作2号機完成。しかし・・・
2004/1/12   新設計で復活!
2004/3/21   ぼちぼちです。


2002/2/6
工作機械、おもわず買ってしまいました(^^;)。
左が、フライス盤です。右が旋盤です。
それぞれ、金属を削り、色々な物を作り出す事が出来ます。

長年の夢「2インチ双眼装置」もこれさえあれば何とかなるでしょう!


2002/8/11

今までに用意した物
・短径50mmニュートン斜鏡     3枚
・幅50mmプリズム         8個
・アルミブロック          35kg
・50mmλ/4ビームスプリッタ-   1個   913日注文から2ヶ月でやっと届きました。

2002/9/17 独り言

色々材料を調べていくと、押し出し成型品のアルミ角パイプで50×50×2と言うサイズがあります。これを利用して45mm角のビームスプリッターを利用して、製作すれば旋盤でのねじ切りの必要は有りますがわざわざフライス盤までそろえる必要は無かったように思う。

つまり卓上旋盤だけでも自作が可能と言う事。45mmビームスプリッターでも実用上はあまり変らないと思う。アイピース自体実際絞りが付いているし、入射口径は40mm弱の物ばかりである。双眼装置自体の口径比は1:3ないし4であり、視野はアイピースの絞りから主鏡(レンズ)中心までの問題なので通常の屈折タイプの望遠鏡なら問題無し。元々、大口径ドブの双眼化からの発想だった。今回は入射口直付けで考えていたので50mmの必要性はあるのだが、最終45mmが妥協線ではないだろうか?

今回はビームスプリッタ−の面精度をλ/4にしましたが、第2弾で2λを使った物も製作し実用比較してみたいと思っています。何とか今年の「望遠鏡双眼鏡サミット」間に合わせたいと思っています。


2003/4/14
不足している刃物やハンドルがそろいやっと、フライス盤が使えるようになりました。
途中、目の手術(レーシック)をした為、安全を見て半年近く汚れる作業を避ける必要があったことを加えてもちょっと間が開き過ぎですね!でも手をつけると意外と早く終わってしまうものです。
さあ、再開です!!
 こんなアルミブロックから、無理やり切り出しベースのブロックを作ります。

 こんな感じで練習しながら苦労しています。

 左の荒く切り出した物が、右のようにピカピカのブロックに変身!結構面白い。

フライスは大体理解しました。
問題は旋盤のねじ切りと変形物の穴あけです。4爪チャックと言うのがあれば良いのですが、シャフトの呼び径が解らないので中古を捜すのに苦労します。また、フライスで加工しても良いのですが、縦横回転テーブルという便利な物を使えばかなり楽になります。しかし、これまた結構高価でして、中古も丁度良いものが見つかりません。
まだまだ長い道のりになりそうです。

感想。
木工みたいな加工速度ではない事を実感しました。
鋸で切ってカンナで調節ペーパーで仕上げ。同じ作業でも金属は時間がかかります。慌てれば必ず機械や刃に障害が起こります。極力製品の流用で進めていかないと何時完成するかわからなくなりそうな最初の日でした。
金切粉が飛んできて熱いです。ちくちく痛いし作業服にいっぱい付きます。手にもたくさん刺さります。
こんな作業が日本を支えてきたと思うと、なんかとても勉強になります。

笠井トレより「シンタ2インチ天頂ミラー」を2つ取り寄せてみました。
このスリーブとバレルを使用してみようと思います。このスリーブは優れもので、アイピース押さえネジが2個付いています+ネジ穴が一つ開いていて最大3本のネジでアイピースを押さえる事が可能です。
バレルも滑り止めの溝が彫ってあります。アメリカンサイズアダプターも付いて7800円とは安い物です。
余ったジャンクは又他の工作に使えそうでとても満足。
流用品活用も、自作の楽しみです!



先日、ビノビューを分解し構造を研究した結果、プリズムを使った方が工作が簡単なことがわかった。
 が、しかし、池田さんのHPでプリズムの軸上収差の恐ろしさを学んだ。
2インチだと最低で100mmの距離を光が屈折していく。
最初の設計通りミラーで進みます。。
※プリズムの固定方法に注目してください。
  

2003/4/23
結局最終設計ではこれを使う事になりました。
早速笠井さんより取り寄せました。
実際の重量は、「結構軽い」感じです。
問題が一つ、アイピースの受けスリーブのそこの部分の絞られている内径が44mmしかありません。
したがってビームスプリッターは45mm角で良かったと言う事になります。
  



2003/5/21
練習の成果

やっとねじ切りをマスターしました。
旋盤で切り出した物です。次にフライス盤で四角に削り中も削り双眼装置のビームスプリッターのハウジングケースになります。
 

2003/5/22
翌日夜に割り出しを行ないました。中も少しさぐり次回の作業につなぎます。
最後の最後、天頂ミラー接続側が2mm足りません。粗削りを目測でいい加減にやってしまいました。
気を抜くとダメですね!まあ、この部分はジョイントプレートを厚くしてカバーできますがこの様なミスが致命傷で振り出しに戻ることもあり大変です。
  


2002/5/29
空いた時間に少し前進!
ビ−ムスプリッターハウジングケースとインテスマイクロ天頂ミラーが合体。
ジョイントプレートの厚さが設計より薄く、ネジ止めに苦労しました。時間に余裕があれば作り直すところなのですが、まあ取り合えずということで・・・。
  
 次の割り出しは、ミラーを削って納まりを考えてからです。


2003/5/31
 ミラー加工

ニュートン斜鏡をミラーボックスに納まるよう片側のエッジを切り落とす作業です。
ガラスはダイヤモンドで加工するのが一番です。ただ電動工具の刃は高価なのでこの作業は簡単な物を用意しました。
ダイヤモンド・ソーとダイヤモンド・ヤスリです。
多少割高ですが在庫が豊富で品揃えの良い大工センターで調達しました。
 

カットは5分ぐらいで切れます。
ギコギコと言うか、ゴシゴシと言うか?あまり力を入れずに水で切り子を流しながら丁寧に切った方が仕上げは楽です。
 

切り口をヤスリで整えます。墨出しがいい加減だったので整形にやはり5分ほど掛かりました。
 約10分で簡単に加工が終ります。道具が命です。水も命です。

仕上りです。
 


さてこれで寸法が決定しました。ミラーボックスの製作に移れます。

2003/6/4

どうにか形になってきました。

ジョイント部分に必要な厚手の真鍮板入手が間に合わなかった為ボディーの完成までは至りません。来週にはケースは完成予定です。
そこまで行けば時間に関らず(夜中でも作業可)進む事が出来ます。
それと、高精度の光軸調整ジグを作ります。これは企業秘密にしておきましょうか?これが生命線になりますので・・・、あしからず。
ここまで来ると随分双眼装置の事が詳しくなります。
次回作の構想ではデザイン的にもかなり凝れそうです。
まあとりあえずは32センチドブに取り付けるか、15センチスペシャル屈折を考えています。
   
どうです?ピカピカ輝いて、個人的にはこんな無骨な形すごく気に入っています。
工作機械の技術も我ながら惚れ惚れするレベルになってきました。
ちなみに設計通り、目幅は、58mm〜∞mmまでOKです。
最小目幅はあと2mm位は可能ですが、アイピースまで削る必要が出てきますので取りあえずはこのままです。
入射口径:48mm
出射口径:46mm
中間絞り:44mm
本体光路長:約192mm
アイピーススリーブ長:42mm
口径比:標準光路長234mm時 入射口径 48mm F:4.875  50mm F:4.68
ショートアイピーススリーブ42mm→25mmの場合光路長217mm 入射口径 48mm F:4.52 50mm F:4.34
改良型アイピースで焦点スリーブ底の場合42mm→5mm光路長197mm 入射口径 48mm F:4.1 50mm F:3.94
注:入射口50mmは要改造限界値で標準はバレル内径48mmとします。
重量:  kg

 可動形部分用のグリスです。ビクセン光学より購入。

このまま上手く行けば来週末ぐらいには完成できるかもしれません。
今回は、アルマイト加工はせず内面艶消し黒塗装で、外側はこのままかゴムかレザー張りにします。
このままの方がハンドメイドらしくて良いかな?

こんな事も、合間にやっています。
 フライスも上手になりました。  
33ツイン接眼部の削り込みも改めて整形しました。
前回は恐る恐るで噛みこんでぶっ飛んだりしましたが、コツを掴めばこの通り!!便利な機械です。(汚い部分はアルミテープです)

2003/6/11

昨日と今日半日づつで本体を完成させました。あとは光学系を組み込んで完成予定です。
昨日の作業は、左右のボックスの接続部分で全てを費やしました。
初の真鍮加工です。
なのに、なのに・・・0,1でなくて0,01mmの加工です。
しかも「はめ合い」と言うのですが、回転部分に溝を切ってそれに合わせて相手側を作ります。方やアルミ方や真鍮、最終的には0,05mmのクリアランスに収まった筈です・・・。
この回転部分の真鍮側の幅3mmの間に8本のタップを立てました。バリと歪みで最終クリアランスは???になりましたが、試しにグリスを塗り組み上げたところいい感じにはめ合います。目幅調整可動は固めの双眼鏡のような動きでした。試しに冷蔵庫で冷やしたところ(冬を想定)少し柔らかく非常にスムースでとめるとピッタってきます。
これで完成にしたいのですが、片側のスリーブが長く見た感じ衝撃に弱そうなので補強の為に腕を一本入れました。他に作られた方々はそのシャフトで固定しているようなので一応私もその機能をつけてみました。つまみは前にカートン光学の工場閉鎖市で買ったジャンクの中にあった物がピカピカ綺麗なので使ってみました。
この辺の作業も細かくてクタクタになりました。
 簡単そうに見えますが・・・、結構泣きました。

 ビッグと普通のビノビューと大きさ比べです。
(ケーニッヒ40mmが入れて有ります)

一応これで本体はOKです。一度、アルコールあたりで洗浄し中の塗装をします。
艶消し塗料は、33ツインで活躍した黒板塗料です。
かれこれ2年?鏡筒のアルミ寸胴に塗ってテストしておりますが、いまだ劣化は認められません。しかもアルミにイキナリ塗ったにもかかわらず全然剥れません。綺麗に乗っている訳です。
したがって、大正解のようでした!

 艶消しされたメインパーツ

その後ビームスプリッターを固定し光軸を調整、各ミラーを取付最終調整で完成です。
う〜、もうちょっとです。


2003/6/13
ついに完成です。
ファーストライトも済ませました。
2・3課題が出ましたが、本質的な問題はありませんでした。
 

使用感:さすがに重量はあります。ドローチューブは最初国際光器扱いのアメリカ製のクレフォードタイプの物を使ったのですが耐え切れませんでした。
笠井さんのクレフォードタイプに変えたところ問題なく(?)スムースです。しかし、将来的には接眼部も確りした物を作ったほうが良いでしょう。ワイドスキャン2個つけるとかなり重いですね!

目幅調整は「素晴らしい」の一言です。
これは、初めての機械加工でこのタッチはすごいです。(自画自賛させて下さい・・・)スムースな大型双眼鏡のタッチと同じ感じです。ただ握り感は無垢材のままなのでそれなりです。冬前にはレザー張りにします。

アイピース差込の締め付けは多少軸が動いてしまいます。倍率を上げると使い辛いので今後対策が必要です。
片側の(写真右)天頂ミラーの角度が僅かにずれていました。白い紙が挟んで有ります。

16日追記>後に再調整→ビームスプリッターの軸が僅かにずれていた為修正した所、OKでした。インテスの精度は結構高いです。
この天頂ミラーは使えそうですね。ミラー自体も増反コート済みのようです。
それからこの天頂ミラーのスリーブねじ込みネジの所へWV−32のバレルを外したネジが合います。完全では有りませんが2.3周噛みますので光路長を縮めることも可能です。ただ、反射面に近い方は焦点が合ってしまいゴミが見え易くなるのが難点でした。それと、バレルの遮光環が無くなるので物凄い広角です。

インプレ(ファーストライト)
急遽完成したので慌てて「DOB32」を改造しました。
接眼部及びスパイダーを185mm移動です。(本当はもっと少なくてよかった。)
突貫であっと言う間に光軸調整まで終了。しかし、ワイドスキャン30だけはピントが出ません。

「ビッグビノビュー」の為に、梅雨空が今だけ晴れ渡ります。そこへ14日月が上がって来ました。
さすがに梅雨空の湿った空気に月の明かりが照り、星達はほとんど見えません。
ファーストライトは「お月見」です。

斜鏡で多少蹴られ口径は30センチぐらいでしょう。カウンターウエイト2kgを載せバランスは丁度です。
アイピースは「笠井WV-32 65°」を装着します。
シーイングが悪く月はめらめらしています。しかし筒内気流かもしれません。
しかし、月の表面の模様が良く見えます。街灯が明るい事務所前の観望ですので瞳径が小さくなっているせいでしょうか?眩しく有りません。「33ツイン」では眩しくて直視できないかもしれません。いや、水蒸気のベールのせいかも知れません。

しばらく放置し、月の高度が上がるのを待ち再度見てみます。
先程より揺らぎは小さくなりました。
月表面を見る限り、「33ツイン」の上を行きます。
なぜでしょう?眩しくない。だけど素晴らしいコントラストです。あらゆる形状が物の見事に見えます。眩しくなく煌いているようです。ブライトって表現したら良いのでしょうか?これはあきませんね!まるで宇宙から見ているようなダイナミックさです。
30分位釘付け状態でした。
気を取り直してアイピースを「ミードUW-8.8」に差し替えます。
シーイングが悪くて限界はありますが像の劣化は認められません。ビームスプリッターの色も出ていません。
この明るさの中での観望なので、暗い空の下で暗い天体を見ても同様の結果が出そうです。
低中倍率は何ら問題も無く双眼のダイナミックな観望が確認できました。

しかし、一番の問題は、この「ビッグビノビュー」に相応しい超大口径のミラーが必要だと言う事です。
さてさて・・・

2003/7/5
あれから数回フィールドテストをしました。
「ビッグビノビュー」の基本性能は非常に満足出来る事が確認できました。
ビームスプリッターも市販の最高の物を使っているので倍率を上げても問題は有りません。

気になる点を幾つか・・・。
・ハイアイの2インチアイピースを使う際、アイポイントが接眼部から遠すぎると良い位置を捜すのが難しいので特にハイアイではないほうが良い感じである。
・2インチのバレルとスリーブの精度は遊びが大きいので軸の微調整をEMSの様に持たした方が良いみたいだ。
・色々な鏡筒で試したくなったのでリレーレンズを組み等倍アタッチメントを作ってみようと思う。ただその場合、20センチほどの長さになるのでEMSをはさんでドブの正立双眼化にしてみようか・・・と思う。

あと重量的にドローチュ−ブの制限が出てしまいます。その内ドローチューブも作ってみようと思います。
ただ「夏い暑」がいよいよ来てしまったので作業速度は落ちます。

それと、本日エドモンド社から2λ45mm角ビームスプリッターが入荷しました。
2λでどこまで見えるか試作2号機の製作に入ります。

大型ドブソニアンではたいした倍率はかけないので2λが可能ならばコストを結構下げられます。
結構楽しみです。


2003/8/16

雨続きで何処にも行かずこつこつと・・・、製作しています。
改めて作り始めると慣れた手つきで楽しい工作です。
しかし、進捗を冷静に見ると随分手間の掛かる工作である事を実感します。

2・3号機のハウジングケース製作途中です。
試作2号機は45mmビームスプリッターを使います。
3号機は実質製品第一号機となる予定です。

2次ミラー用のボックスを作るのは面倒です。
しかし、インテスマイクロ2インチ天頂ミラーが使えない今となっては・・・。
片手間で作るには時間が足りませんが加工やさんに見積もりを頼んだところ物凄い金額で考え物です。
さてさて・・・


2003/8/26

先日の実験で「リレーレンズ」結構いけるのが解りました!
大型ドブソニアンに無改造で取り付けが出来るように設計しました。
これだと副産物として、背の届かない接眼部を低くする事が出来ます。




2003/9/3
試作2号機完成! だけど・・・。

 左が1号機 右が2号機

 2λプリズム1個使用 

 1/4λオールミラー

だけど、プリズムの光路長の短さ、思ったより短いのですね。構造的に難しいので再設計しなおす必要があります。なのでプリズムはあきらめミラーに取り替えます。2λの精度を比べるのも条件を同じにしないと意味もありませんし。
一応現状の結果として、暗さは取れました。
200倍前後で火星を見比べましたが違いがわかりませんでした。

2004/1/12
忙しい日々の峠を越え始め再び製作に入りました。
結局、必要な道具をそろえる余裕が無く四つ爪チャックの変わりに専用のジグを作りしのぐ事としました。


四角のミラーボックスをはめ込んで穴あけ、ねじ切りを行います。

これは、インテスマイクロのミラーボックスが手に入らない為天頂ミラーを割り出しで製作しているところです。
現在は円柱から切り出していて非常に手間がかかっています。
何とかバンドソーと四つ爪チャックを手に入れたいところです。
新設計の双眼装置は製品第一号として頑張ってみます。

2004/3/21
  

ネジを切ってアイピーススリーブを付けた所です。
BS・BOXとぴったり合います。ミラーボックスはこの後45°にカットしミラーを組み込みます。
しかし、もっと斬新なアイディアがありこの形も考え中です。とりあえずは完成させる予定。
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