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   自作(手作り) 「ニュートン・ビノビュアー」双眼装置 

 
2008/9/23発!
2008/9/25 ロータリーテーブル作業
2008/9/29 外観
2008/10/3  ひみつ?公開
2008/10/14 スーパープライマー
2008/10/16 /20 大詰め!
2008/10/22 接眼レンズ&フォーカサー
2008/10/31 インプレ
 
 スターパーティー迄に
完成させるぞ!

何を作っているかは、だんだんに分かってきます。
お楽しみに!

てか、タイトルのまんまです。
で、どういった目的で、どういった仕様か?まだ秘密です。(^o^)

材料は、一ヶ月前ぐらいにそろえたのですが、なかなか腰が重く、「双望会」まで、後ひと月。

こういったモノは、何が大変かって?
やっぱり段取り八分ってやつです。

図面を正確に引いて、更に、正確にけがきが必要です。

そして、工作機械は手入れをしてコンディションを作ります。

久しぶりの金物工作。

長ものから先ず切り出して、けがき。
ざくっと旋盤と、フライス。

細かいのが面倒で、外注に出したくなりますが、グッと堪えて製品開発!
手作りを大切にしています。

今回も、一応、「無いものは作れ!」シリーズです。(^_^)v
他には、ビームスプリッタとか、ミラーとか、用意しています。

2008/9/25 ロータリーテーブル作業

フライス盤は静かなので深夜にも作業を進める事が出来ます。
もちろん、涼しい季節だからこそ作業出来るのですが良い感じです。

ただ、以前と違い、目が利かなくなってきたので作業用の大型ルーペのお世話になっています。


製作は見ていただくと分かるのですが、今回は、無垢材からの割り出しは行いません。丸パイプと角パイプから製作します。
ロータリーテーブルは前に五千円で買ってきたぼろっちい奴で、油に付けてあって3年目にして初めて動き出しました。
センター出しがめんどくさい作業ですが、何とか慣れました。。


2008/09/27
更に、パイプの横に穴を開け、光路が出来ていきます。
上手く組み合った感じです。
やっ5分の1ぐらい進みました。

2008/9/29 外観

部品の切り出しは、外観的には後一個。(トンボのところ)
真鍮の加工に苦労しました。
近くで見ると、厳しい仕上がり。
トンボが出来たら、ねじねじ作業です。

現状でははめ合わせているだけ。

さあ、ここまで外観が出来ると、この双眼装置の目的が分かってくる?

まだまだ、正体はひみつです!

2008/10/3  ひみつ?公開

やっと大方のネジネジ作業も終盤です。
今回は2mmの皿ビスを多用したので、作業用ルーペが大助かりです。
このルーペは両目で覗く事が出来るので大変便利でした。
で、仮組したところです。
後は細かい面取りやバリを減らして塗装に入ります。
塗装後に光学系の組み込みを行い完成です。

ここいらで、そろそろスペックを・・・
「ニュートン・ビノビュアー」
当双眼装置は、口径比がF5未満の反射望遠鏡での使用を目的としたアメリカンサイズ用の双眼装置です。
市販の双眼装置は入射口径が最大で27mmというアメリカンサイズバレルに依存された口径で、必要光路長からF5未満の鏡筒で使用する場合はバローなどで入射角を緩和する必要があります。したがって、大口径ドブソニアンなど短焦点ニュートン鏡筒では低倍率(バローなど使用しない倍率)の使用が出来ず終いです。

大型ドブでそれを可能に知る為に2インチサイズ用の双眼装置を製作し楽しんでまいりましたが、最近はバックグランドの暗さを出す為や、中焦点アイピースの超広角タイプが販売されたりで2インチにこだわる必要が無くなりました。また、個人的理由で瞳径も中倍率での仕様がメインです。そのような状態ですと、軽量・コンパクトな双眼装置が欲しくなります。
しかし、そんなものはやっぱりありませんね!

だから作っています。(^_^)v

入射口ビームスプリッタ:35mm 中間反射ミラー径:31mm 消費光路長:140mm 口径比 1:4
目幅:53mm〜80mm バレル:2インチ スリーブ:アメリカンサイズ 


大方の作図から計りますと、アメリカンサイズアイピースの焦点(バレルの付け根)で、F4の光束焦点です。
その位置で、F4.5の主光束サークルは4mm以上は取れそうです。
従ってアメリカンサイズならことごとく快適に使用可能です。

ただし、もちろん!鏡筒改造が前提ですから誤解無いように!!
2008/10/14 スーパープライマー

双望会まで後10日だというのに仕事が忙しくなかなか進みません。
とか言いながら、ガレージセールやってるし・・・。(^_^;)

先週ネットで終盤の必要品をネット購入。
ミラーマウントの為のアルミ棒、ミッチャクロン、黒板塗料です。
黒板塗料はホームセンターでスプレー式を見つけました。

「ミッチャクロン」ってなんでしょう?
これは昔からお世話になっているのですが、なかなか売っていないので使わない事も多かった。最近は結構メジャーになってきたようですが、知らない方にお教えしておきます。
ミッチャクロンはプライマーで、殆どのものに塗装出来るようになります。しかも透明!
アルミ、鉄、樹脂、PP、あげくはガラスまでも塗装可能になるスーパープライマーです。
ここまでのものは他にはないと思います。
仕事ではよく使うのですが、このスプレー缶は自作にもってこいです。

さっきまで、丸棒を削ってミラーマウントを割り出し、斜鏡をダイヤモンドソー手切りでギコギコしていました。

ギコギコやりながら、ミラーマウントの微調整方法を思いついたのでもうひと作業増える事になりました。

そのあと、仮組して、良いようならミッチャクロンの出番です!

しかし、ぎりぎりになってきました。

そうそう、今年は運搬用のマルチカーゴトレーラーを購入してそれに機材を積んで双望会へ行く予定です。
これも急がないとやばそう・・・。

2008/10/16 /20 大詰め!

双望会も近づき、何とか間に合いそう。
双眼装置内の迷光処理に黒板塗料を吹き付けました。
今回も外部は仕上げ無しで「手作り感」を出します。

作業は、マスキングテープぐるぐる巻きミイラ状態。
まず、ミッチャクロンを軽く吹き付けます。
ミッチャクロンは薄く広がればOK!塗りすぎないのがコツです。
完全に乾かずべたべた状態でプライマーは完了です。

黒板塗料スプレーをエアーが抜けるように、開口部から吹き込み中を塗装します。3度に分けて仕上げます。
塗装が終わったら、ばらして、命を吹き込むべく光学系の取付です。
一番気を使う作業です。
接着にはシリコンコーキングを使用します。
ミラーは、0.5mmの両面テープで固定&クリアランスを確保します。

ビームスプリッタ取付は、0.3mmの樹脂板をコーナーごとに小さく挟みマウント内に浮かせています。ずれないようにコーナー部にシリコンコーキングで固定です。
組み上げ完成!
この後、光軸調整で新しい方法を考えつき、丸一日近く追い込んだのですが、新方法は根本的な間違いがあり、ドツボの一日になりました。(^_^;)

結局今までと同じ方法で簡単に軸合わせ終了しテスト!
無事問題なく仕上がりました。

ビノビューと比較したところ消費光路はビノビュー+8mmで完成です。
しかし一つだけ大きな問題が・・・。
右側が何故か2mmほど光路が長くなっています。
つまり、アイピースの飛び出しがでます。
いやな飛び出しですね。
使えなくもなく、作り直しも時間的に結構大変。

ドブへの取付が残っているので取りあえずこのままで、双望会前に時間の余裕が出来たら何とか手直しします。
ビノビューと入射口比較。
撮影直前に、ニュートンビノビュアーの方にマジックで傷を修正したら、汚く映ってしまいちょっとガックリ。

ちなみに、ビノビューの消費光路長は公称値で確か・・・135mmです。
ニュートンビノビュアーは+8mmなので、143mmで完成です。
吊り下げ式フォーカサーの場合、BS面からの口径比になるので更に12mm消費光路が少なくなります。

以下比較値

入射口径/消費光路長/口径比
ビノビュー 27mm/135mm/
5
ニュートンビノビュアー 35mm/143mm/4.08
吊り下げ式ニュートンビノビュアー 35mm/131mm/3.74


狙いが判りましたか?
F4.5の鏡筒なら焦点サークルを十分に取る事が可能です。
武蔵五百に取り付けて、差し込むアイピースは○○○○です。(^o^)


さあて!もう一息。

2008/10/22 接眼レンズ

ニュートンビノビュアー用にアイピースを買ってきました。
トレーラー引取の途中で恵比寿まで寄ったところ、11階まで階段で上るはめに・・・。(^_^;)
久しぶりの「テレビュージャパン」です。

13mm/100°のアイピースの見栄味はどんなものでしょう?ただ覗いても周辺を見つける事は出来ませんでした。
ちょっと残念な事は、ミードの14mmより大きく、重さも変わらないぐらいです。
もうちょっと軽量を期待していたのですが、残念!

しかし、覗いて見ると、きっと違います!
何が???
ミードの14mmと、イーソス13mmを並べてみました。
大きさやスペックは殆ど同じ。
値段はなんちゅうか、何でこんなに高いの???
究極のアイピースでなかったら悪口言いたくなる値段ですね。
重たいから双眼装置はきつそうだけど、33ツインや他の鏡筒で良さそうです。

ま、今後が楽しみ!(^_^)
(目幅の狭い人ごめんなさい!目幅がある特権です)

【イーソス 13mm 諸元】
見掛視界: 100° 焦点距離: 13mm  有効絞環径: 22.4mm
アイレリーフ: 15mm  バレスサイズ: 2”、1 1/4”
全長: 144mm  最大径(ゴムグリップ部): 62.5mm   重量: 590g

フォーカサー
武蔵五百2インチ双眼装置用フォーカサーを改良し、ニュートンビノビュアーを取り付けた。
これにより、最大で5cu程度の光路障害と殆ど光路上の問題もなくなる。
ぎりぎり夜明け前の完成なので、急ぎテストライトを行おうと事務所の扉を開けると、断念ながら思いっきり曇り空。。。

しかしだ、これでやっと大方の宿題が終わろうとしている。嬉。


  

イーソス13mmを使用した場合、双眼装置の
落とし込みが少なく、光路障害が0となった。
システム的に最良の状態です。



2008/10/31 インプレ

「双望会」ではファーストライトが出来ず、帰宅翌日乙女高原にて果たす事が出来た。
到着数時間は雲が多くNG、2:30位から雲が退き深く澄んだ夜空にオリオン座を迎え撃つ。
久しぶりに見るビッグ星雲。

イーソス13mmで見る大星雲は、焦点距離2250mmF4.5、173倍0.58°の視野となる。
トラペジウムはシーイングの影響で若干肥大し4個の確認で終わるが、側に更に気配を感じる。
M42の1/4程度が視野に収まり、なめ回すように視野を動かすと、淡い羽が写真のごとく下の方まで広がりその濃淡がはっきり感じられ、反対の濃いせり上がった雲状のの部分が立体的にうねりながら手前へ見える。もちろんこの観望に”そらし目”は存在しない。

驚く程の臨場感だ。
確かにイーソスの優れたコントラストもあるが「ニュートンビノビュアー」の視野の明るさは双眼装置と思えない程自然な視野である。周辺減光が少ないという事は同時に視野全体の明るさに大きく影響するようだ。とても大きな収穫である。

この条件なら、馬頭星雲の確認が出来そうだ。そのまま三つ星へ鏡筒を振り”燃える木”を探す。
倍率が高い為いつものような形は見えないが、雲海の隙間に木の幹を確認するようなその存在を認めた。初めての体験である。燃える木の濃淡がリアルに雲状に感じその輪郭すら見えてくる。
これほど星雲の濃淡・輪郭を感じるのは初めての体験。
50pツインを検討している今、それを不要と考えさせられる結果に衝撃を覚える。

空のレベルは馬頭を許す事はないが、このコンディションで、当に「ニュートンビノビュアー」の成功を、世界で一人楽しんだ夜である。(^o^)
そしてイーソス×2の贅沢も。

 KIKUTA


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